| 研究課題/領域番号 |
21H00813
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| 研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
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研究代表者 |
小林 功 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (70425552)
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| 研究分担者 |
市川 創作 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00292516)
Neves Marcos 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10597785)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 食品 / 乳化 / マイクロチャネル / 高濃度エマルション / 精油 / in vitro消化 |
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| 研究実績の概要 |
次世代型食品分散系は、摂食後の消化性および含有栄養・機能性成分の放出特性を精密に制御可能な食品（素材）として期待されている。本課題では、微細構造デバイスを利用した先端乳化技術などによる粒子サイズ、微細構造、組成、および安定性が精密に設計された新規食品分散系の作製、ならびにその諸特性およびin vitro消化性について系統的に解明することを目的として研究を進めている。
まず、微細構造デバイスを用いた先端乳化技術であるマイクロチャネルホモジナイザーに関して、非対称貫通型マイクロチャネルを用いた食品用エマルションの安定的な高効率作製（最大透過流束：>1 m3/(m2 h)（水中油滴型）、>0.1 m3/(m2 h)（油中水滴型））を達成した。微細構造デバイスを用いて作製された組成が異なる単分散エマルションの混合により、食品用マルチ単分散エマルションを作製可能であることを示した。次に、分散相としてココナッツ油を用いた「高濃度、超高濃度エマルション」の作製および特性に関して、乳化剤の種類が前記エマルションの粒子サイズ、保存安定性、および冷却特性に及ぼす影響を把握できた。また、精油を含有した分散相を用いた水中油滴型ナノエマルションの作製特性に関しても、分散相の組成および乳化剤の種類が粒子サイズおよび保存安定性に及ぼす影響を解析できた。さらに、昨年度構築したin vitro消化試験・評価方法を用いた研究により、水中油滴型マクロ・ナノエマルションの胃消化物・小腸消化物の性状および液滴サイズ分布、ならびに小腸消化中における遊離脂肪酸の生成量に関する基礎的知見が得られた。
本年度までに得られた知見を活用し、最終年度（2023年度）に組成および操作・装置条件が次世代型食品分散系の作製、主要特性、およびin vitro消化性に及ぼす影響について系統的に解析する。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の次世代食品分散系の作製および特性について有意義な知見を蓄積することができ、栄養・機能成分の効果的摂取に有用な次世代型食品分散系の創製につながる重要な成果であると考えられる。マルチ単分散エマルション、高濃度、超高濃度エマルション、および水中精油型ナノエマルションにおいて、作製時と作製後の特性を系統的に評価できた。微細構造を活用した先端乳化技術であるマイクロチャネルホモジナイザーを用いて、食品用エマルションを高効率作製できることを示し、かつそのメカニズムについても解析できた点も学術的に有意義である。また、次世代型食品分散系における重要な評価項目の１つであるin vitro胃腸消化性について、新規なマクロ・ナノエマルションに関する基礎的知見が得られた。以上より、次年度以降の研究に向けて有意義な成果が得られたと言える。
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度（2023年度）は、次世代型食品分散系の作製のさらなる高度化、次世代型食品分散系の保存安定性およびin vitro消化性、ならびに次世代型食品分散系への栄養・機能性成分内包について、さらなる検討を進める。
先端乳化技術のさらなる高度化に関しては、作製された微小液滴が乳化デバイス表面から離脱しやすい微細構造について検討する。新設計の微細構造デバイスを用いた単分散エマルションの作製について検討し、作製直後の微細液滴の挙動を解析する。また、特徴的な融点・成分を有する機能性油脂を用いた高濃度、超高濃度エマルションなどの作製特性について解析をさらに進める。栄養・機能性成分等を含有した次世代食品分散系の作製および保存安定性に関しては、脂溶性成分を含有した水中油滴型ナノエマルションなどの次世代食品分散系の作製について系統的に検討する。作製された次世代食品分散系における脂溶性成分の内包率およびその経時変化について定量的に評価する。また、本研究で作製した次世代食品分散系について、粘度測定、外観観察および顕微鏡観察、サイズ分布測定、ならびに脂溶性成分の内包率の定量測定を実施し、物理的特性および保存安定性を多角的に解析する。次世代型食品分散系のin vitro消化性に関しては、昨年度までに構築した試験・評価方法を用いて組成・構成成分が制御された次世代食品分散系のin vitro消化試験を実施し、消化物に関する特性および遊離脂肪酸の生成量について分析・評価する。
本年度までの研究成果および次年度の研究により得られる結果を総合的に解析し、栄養・機能性成分を含有した次世代食品分散系の開発に資する指針を得る。
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