研究課題/領域番号 |
21H00829
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
木村 育恵 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50447504)
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研究分担者 |
河野 銀子 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (10282196)
田口 久美子 和洋女子大学, 人文学部, 教授 (40275110)
池上 徹 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (30333264)
跡部 千慧 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (70780823)
高野 良子 植草学園大学, 発達教育学部, 名誉教授 (00350190)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダー / 教員育成指標 / 教員育成スタンダード化政策 / キャリア形成 / 全国教員調査 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「教員育成指標」が教員のキャリア形成に及ぼす問題を、ジェンダーの視点から明らかにすることである。 教員育成に関する改革は、教員のキャリア形成を官制主導で標準化する方向で進行している。その目玉となるのは、2017年策定義務化の「教員育成指標」の導入である。だが、統制的で単線的な熟達指標でどのような教師が育つのかという点や、教員の自律的な力量形成やキャリア形成の多様性を許容しない懸念を持つ点で問題がある。 国の「第5次男女共同参画基本計画」においても、教員育成にジェンダーの視点を取り入れることが課題となっている。そこで本研究では、「教員育成指標 」が教員のキャリア形成に及ぼす問題を、(1)教員のキャリア形成の実態を捉える全国的なウェブ調査と、(2)都道府県の「教員育成指標」の質的分析を通して明らかにする。特に、ジェンダーの視点からキャリア形成過程に着目し、教員育成システムが教員の階層化や分断を促すメカニズムを解明する。 2021年度は、(1)の全国教員調査をネットリサーチ会社受託によって実施し、1,000票以上の回答を得た。全国の国公私立小・中・高校・特別支援学校の教員を対象に、マスとしての教員のキャリア形成を捉えるマクロ視点として、学校歴・昇進の状況・異動・担当教科・研修の機会・担当教科の学内外ネットワーク等を尋ねた。教員個々に関する状況を捉えるミクロ視点としては、労働時間・校務分掌・勤続年数・役割期待・育児や介護負担等の有無等を尋ねた。今年度は得られたデータから全体的な傾向を把握し、校種に着目して詳細に分析することの重要性を捉えた。 (2)の「教員育成指標」分析については、全国を北海道・東北ブロック、関東ブロック等6ブロックに分け、各ブロックのうち、プレ調査で既に分析を済ませた県を除く各県の教員育成指標分析を実施し、関連学術学会にて成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、予定していた2つの調査研究を遂行することができた。 (1)の全国ウェブ調査を実施実施では、全国規模かつ国公私立の小・中・高校・特別支援学校の各学校段階の教員から一定数の貴重なデータを得ることができたため、今後詳しく分析を進めてきたい。 (2)の「教員育成指標」分析については、プレ研究で分析済の県を除く各県の教員育成指標分析を実施し、関連学術学会にてその成果を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、特に、リサーチ会社に委託をして昨年度実施した(1)の全国教員調査の結果を、多変量解析等を用いて詳細に分析していく。 全国教員調査では、マスとしての教員のキャリア形成を捉えるマクロ視点からの調査項目と、教員個々の状況を捉えるミクロ視点からの調査項目を設定している 。2021年度の全体的な傾向の把握によって、教員のキャリア形成に関する分析においては学校種という要素が重要であることがうかがえたため、それを踏まえた上で、今後はジェンダーとクロスさせながら多変量解析を含めて詳細に分析していく。 さらに、全国教員調査分析から得られた知見は、関連する学術学会にて報告し、成果をまとめていく。
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