研究課題/領域番号 |
21H00847
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
村田 憲章 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (40773891)
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研究分担者 |
戸田 春男 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10217507)
生方 北斗 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (50795127)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乳幼児視力 / 弱視 / 視線解析装置 / 健康診査 |
研究実績の概要 |
本研究は,視線解析技術を応用した乳幼児視力の自動計測法を検証し,効率的に弱視を発見するシステムの構築を目指すものである。 ヒトの視力の正常な値は小数視力1.0以上と定義されているが,この1.0の視力は生直後から得られているわけではない。正常であれば3歳頃に良好な視力が得られるが,その間に斜視や眼科的疾患,強い屈折異常などによって視覚中枢の成熟が妨げられると弱視を発症する。小児の視覚は8歳までに完成し,その間に弱視が発見されなければ一生涯にわたって視力障害を抱える危険性がある。3歳児健康診査では視力確認の項目があるが,保護者による検査や問診のみにとどまる場合や,異常が見つかった場合でも二次検査に眼科専門職が介入しないことがあり,弱視発見率には地域格差が生じている。しかしながら,健康診査にて弱視発見率を向上させる方法は未だ十分に検証されていない。そこで本研究では,乳幼児の自動視力測定法の開発・検討を試みている。 2021年度は,本研究の遂行に必須の器機となるキャリブレーションフリー・視線解析装置EMR-ACTUS (ナックイメージテクノロジー) を導入した。本機は,視線位置の校正が必要なく対座するだけで視線の計測を開始できるものであり,多数の被検者の視線データを収集するのに役立つ。当初の計画通り,年度内前期には装置に投影する縞視標を作製し,縞視力計測 (何もない空間よりも白黒の縞を凝視するのを好むことを利用して視力値を得る方法) の環境を整えた。後期にかけて健常成人の視力自動測定を実施し,数十名のデータを収集した。本研究成果は,2022年度内の国内外の学会にて発表する予定であり,論文の執筆も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の遂行に必須となるキャリブレーションフリー・視線解析装置EMR-ACTUSを無事導入でき,縞視標の作製についても計画通り年度内前期に実施できた。器機の検査距離が80cmであるため,80cm用Landolt環 (Cのような視標の切れ目を答えさせる,一般的に用いられている視力視標) 視力表も特注で作成した。その上で健常成人の視線解析装置で測定した縞視力値とLandolt環視力値の相関,または屈折異常値 (遠視・近視・乱視) と縞視力値の相関関係を検討しており,それぞれ有意な相関があることを確認した。本検討によって,視力スクリーニングの実施を実現できる可能性が高まったと考えられる。しかしながら,当初の計画よりは未だ健常成人被検者のデータが不足しているため,2022年度前期も継続してデータ収集を行っていく必要がある。さらに,視線解析装置のシステムが大量データの抽出に向かないため改良が必要であり,開発元と研究討議を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度前期は,健常成人のデータを収集し,健常人視力の自動測定に関する研究報告の論文化に足るエビデンスの構築を引き続き継続していく。また,後期からは4-6歳の小児を中心とした小児視力の自動測定を行うことを計画している。この計画でのデータ取得は新潟医療福祉大学附属のこども園や,研究分担者が所属する機関とかかわりがある幼稚園・保育園・こども園の園児およびその保護者に協力を依頼する予定である。
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