研究課題/領域番号 |
21H00888
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
氏間 和仁 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80432821)
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研究分担者 |
永井 伸幸 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (50369310)
大島 研介 横浜商科大学, 商学部, 講師 (80636811)
奥村 智人 大阪医科薬科大学, 小児高次脳機能研究所, 特別職務担当教員(講師) (00538077)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 視覚障害 / 弱視 / 発達障害 / 読み / 評価 |
研究実績の概要 |
本年度は,(1)読み評価に使用する評価用文章の作成,(2)定型発達の小中学生の読みの標準データの収集,(3)読み評価アプリのプロトタイプの開発が主な実施内容であった。(2)に関しては,新型コロナ感染症対策のため,宮城での実施が2021年度に完了しなかったため,繰り越しの実施となった。 (1)読み評価に使用する評価用文章は,ひらがなのみの文章,小学1年生配当漢字中心の文章,小学2年生配当漢字中心の文章と小学6年生配当漢字の文章まで,含有漢字の異なる7種類の文章を短文50文,長文10文の合計420文作成した。また,長文は5文を文系文章,5文を理系文章にした。短文は1年生から6年生は30文字,ひらがなのみの文章は25文字から27文字程度,長文は200文字程度であった。各文章につき,短文は2問,長文は5問の3者択一式の内容確認問題を作成した。このクイズへの回答フェイズを読み速度評価に加えることで,読みに対する方略に「読んだ後,問題答える」という目的意識ができ,この点で読み方略を統制できると考えた。 (2)東広島市の小学校と中学校および仙台市の小学校で読みの標準データ取得を行なった。読みデータ取得に際しては,教研式Reading Testを実施し,読書力偏差値と読速度の関係を捉えられるようにした。このことで,1学年あたり100名前後のデータを取得することができ,本研究で開発する読み評価アプリの開発に活かすことができると考えている。 (3) 読み評価アプリをApp. Storeに公開して,利用できるようにした。日々アップデートを重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の核心である,評価文章の作成,標準データの取得,アプリ開発,当事者データの取得と分析のうち,初年度実施予定の部分について,予定通り進行している。さらに,学校を会場にした読みデータ収集以外に定期的に研究室でも読みデータ収集を行い小中高校生のデータ収集を行なっている。さらに大学生100名を対象に標準データも取得しており,今後,小学1年生から大学生までの読み評価の可能性も期待できる点で,予定を上回る進捗と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り,本研究の大きな目的のうち(1) 読み評価用文章の作成,(2) 同文章の標準データの収集,(3) 読み評価アプリの開発までは,想定を上回って進んでいる。今後は(4) 発達障害等の児童生徒の読み特性の読速度・視線からの分析により,(5) 最終的に読み困難の児童生徒の困難のメカニズムの解明と,(6)それを身近に評価できるツールの開発及び(7)デジタルリーディング下での最適な支援方法の提案を支援するツール開発を進めていく。さらに,(2)の標準データの収集は,広島と宮城で継続して実施する。 (4)は広島大学と大阪医科薬科大学LDセンターとで発達障害及び弱視の児童生徒の読みパフォーマンスの測定と視線の計測を行う予定である。広島大学では昨年度から月に3日,土日を利用した実験を継続して実施し,多くの実験参加者の協力を得ている。この業務を効率化するために,予約管理システムの利用料を計上した。また,デンバーで開かれる国際学会で研究成果を発表し,国際的な評価を受ける予定である。
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