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2021 年度 実績報告書

学びのつまずきの要因となるAPD(聴覚情報処理障害)への教育的支援

研究課題

研究課題/領域番号 21H00889
研究機関愛媛大学

研究代表者

立入 哉  愛媛大学, 教育学部, 教授 (90294777)

研究分担者 八田 徳高  川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (70804615)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード聴覚情報処理障害 / APD / 聞き取りにくさ / 雑音下 / 認知トレーニング
研究実績の概要

APDスクリーニング検査法として、日本語版Dichotic Digits検査(DDT)を作成中である.DDTはノイズ下の左右分離聴検査により、聴覚的弁別・注意・記憶を評価できる(Musiek、1991) .このスクリーニング検査はタッチスクリーンが使用できる端末であれば、どの器種でも実行可能であり、1人5分程度で終了するので、教室での一斉検査が可能である.さらに、八田が研究代表者の科研(基盤C:18K02768)にてAPD評価アプリはほぼ完成しており、評価ツールは完成し、論文投稿中である.コロナ禍により、標準値を求めるための定型発達児を対象とした一斉検査が未実施であるものの、非対面でおこなうことができた.とはいえ、提示雑音の種類によって結果が異なる/左右差の有無が出たり、出なかったりするため、被験者数を増やす必要に迫られている。
訓練プログラムの開発では、ボトムアップアプローチと並行してトップダウンアプローチ(聴覚学習)を実施した.APDの症状は個々によって様々である.これら個別の聞こえにくさに合わせた訓練プログラムを言語聴覚士と共に立案し、愛媛大学教育学部内に設置する「APD支援室」にて実施した.八田の評価アプリに含まれる左右に音圧差をつけた状態で語音を提示し、音圧が弱い語音に注意を向けることで、良い音圧の語やノイズ下での聞こえを向上させるアプローチ(DIID)のトレーニングを実施した.しかし、トレーニング場面での成績向上は見られたが、結果、日常生活場面での聞き取り向上につながり、APD症状が緩和してはいない.この問題に対し、補聴援助機器を組み合わせるか、あるいは、追加の認知トレーニングを実施するかという曲がり角にいる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

スクリーニング手法の開発はほぼ予定通り進んでいる.ノイズの種類によって結果がぶれてしまう傾向が見られるが、より日常生活場面に近いノイズ(バイノーラルマルチトーカーノイズ)を新たに作成することができた.従来のモノラルノイズでは再現できない真の日常生活場面でのノイズ下の聞き取りを評価できるノイズを作成できたことは今後の研究の進捗に大いに役立つ.
APD症状を有する学齢児~成人に対する支援法では、iPad上のDIIDのような聞き取り向上促進訓練プログラムの有効性を認めることができた.とはいえ、このトレーニングプログラムの成績向上が見られたものの、では日常生活場面でのノイズ下の聞き取りが向上したとは言えなかった.このため、Bluetoothや、狭指向性スピーカといった補聴援助機器を導入することによって、それらの機器が使用できる場面での問題解決にはつながった.DIID以外の認知トレーニングを始めており、これらとの並行実施による効果も評価できつつある.

今後の研究の推進方策

APDスクリーニングについては、バイノーラルマルチトーカーノイズによる非対面方式での実験手法が開発できたので、4月より協力をいただける小学校での実験を計画している.今までの経過を第67回日本聴覚医学会にて口演できるようデータの分析を進める.このスクリーニングによって、外れ値となる児童がいることを明らかにしたい.
さらにAPD支援室に来室する児に実際に実施するが、その効果検証を進める.今までに明らかになったDIID法の効果と限界を明らかにすること同時に、補聴援助機器を利用する補法をとまとめ、APD児への聴覚学習の指導法を聾学校等に紹介する.これらにより 研究室内のAPD評価法と教育支援法を、現場の教員にフィードバックできる.この際、「フィッシャーの聴覚的問題に関する質問紙」を訓練前と訓練後に実施し、学習の遅れや困難に対する効果が出ているかどうかを検証する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] APD(聴覚情報処理障害)評価アプリの試作とその適用2022

    • 著者名/発表者名
      立入 哉・中村麻弥・八田徳高
    • 雑誌名

      AUDIOLOGY JAPAN

      巻: 65 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] APD スクリーニングを目標とした日本語版 DTT の試作2021

    • 著者名/発表者名
      立入 哉
    • 雑誌名

      AUDIOLOGY JAPAN

      巻: 64 ページ: 527~527

    • DOI

      10.4295/audiology.64.527

    • オープンアクセス
  • [学会発表] APD スクリーニングを目標とした日本語版 DTT の試作2021

    • 著者名/発表者名
      立入 哉・中村麻弥・八田徳高
    • 学会等名
      第66回日本聴覚医学会
  • [学会発表] 聴覚情報処理機能訓練アプリを適応した1例2021

    • 著者名/発表者名
      八田徳高, 立入哉
    • 学会等名
      第66回日本音声言語医学会

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公開日: 2022-12-28  

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