研究課題/領域番号 |
21H00937
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森口 佑介 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80546581)
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研究分担者 |
金沢 星慶 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (60744993)
浦上 萌 椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (70805762)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 幼児期の算数 / 実行機能 / 前頭前野 / 頭頂葉 / 脳発達 |
研究実績の概要 |
実行機能とは,目標到達のために行動を制御する能力である。子どもの実行機能は知能以上に後の学力を予測することや,訓練可能であることから,世界的に注目されている。だが,実行機能の発達が初期の学力にいかに関連しているか,その発達機序は明らかではない。本研究では,特に幼児向け算数に焦点を当て,「実行機能と幼児向け算数の発達的関連はいかなるものか」という問いを発達認知神経科学的手法によって解明することを目的とした。 研究初年度の本年は,行動実験を用いて,実行機能の発達が幼児向け算数のどの側面に関連するかを検討した。先行研究では,幼児向け算数の中の側面が実行機能とどのようにかかわるのかについては十分に検討していない。本研究では,幼児教育や保育の指針において,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として数量・図形,文字等への関心・感覚が挙げられていることと,幼児を対象にした認知発達研究で既に検討されていること,成人を対象にした脳機能研究が進んでいる点を考慮して,幼児向け算数として,計数,計算などに焦点をあて,これらと実行機能の発達の関連を検討した。 研究では、4-6歳の幼児60名程度を対象に,計数,計算が実行機能と関連するかを行動実験によって検討した。実行機能課題として、視空間ワーキングメモリ課題、言語性ワーキングメモリ課題、抑制機能課題をそれぞれ2つずつ実施し、それらの成績と計数・計算課題の成績との相関を検討した。その結果、視空間ワーキング課題の成績と計算課題の成績の間に中程度の正の相関関係が認められた。その他の相関関係は弱いことが示された。これらの研究結果から、視空間ワーキングが子どもの計算能力と関係することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスによるパンデミックによって例年と比べてデータを取るのが難しい状況にあったが、その状況化でも幼児を対象とした行動実験を実施し、計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は幼児を対象に脳機能計測を実施する予定だが、新型コロナウィルスの状況によっては、幼児との接触が求められる脳機能計測は難しい可能性もある。その場合は、脳機能計測を断念して、さらなる行動実験を実施するなど、柔軟に対応する予定である。
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