研究課題
前年度に引き続き、局所対称性をもつ正多角形をベースとした自己相似集合上へ自己相似性をもつ拡散過程が構成できるための幾何学的条件について研究を行った。本年度は特に自己相似集合の対称性が小さい場合、例えば(1) 偶数角形(2q角形)をベースとする自己相似集合で、対称性を表わす群が位数 q の回転群である場合(2) 対称性を表わす群がtrivialである場合、すなわち単位元のみから成る場合について研究を行った。その過程で、自己相似集合を構成する縮小写像による正多角形の境界の像を用いて、自己相似集合の幾何学的な繋がり方を表現する正多角形の境界をなす線分達の部分集合からそれ自身への集合力学系を構成し、その力学系の性質と自己相似的な拡散過程の存在の関係を明らかにした。この関係を用いて自己相似的な拡散過程が存在する新しい自己相似集合の例を系統的に見つけることに成功した。さらにこの集合力学系を解析することで、拡散過程を構成するための「障害」となる部分自己相似集合の存在について新しい予想を得た。また、University of Washington の Z.Q. Chen教授とのjump process の熱核評価に関する共同研究も継続させ、本年度は熱核の下からの評価が空間の"大部分で"成り立つための条件を考察し、そのような条件が成立する具体的な jump process のクラスをSierpinski gasket上のBrownian motionの区間へのトレースを基盤として1次元の区間および半直線上に構成することに成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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