研究課題
本研究では次世代の燃料電池の固体電解質として注目されているジルコン酸バリウムBa1-xMxZrO3-δの電荷担体であるプロトンのミクロな伝導機構を、超短光パルスを用いた超高速分光を用いて解明する。有極性液体の水素結合ネットワーク研究における超高速分光とその解析手法を適用することで、固体電解質中のOHO結合を介したプロトン伝導ダイナミクスを調べる。当該年度においては、プロトン伝導形固体電解質であるジルコン酸バリウムのテラヘルツ分光および反射測定を行い、プロトンをドープすることで特定の低周波数フォノンが大幅にダンプすることを見出した。これは従来のプロトンドープによる短距離歪みでは説明できず、結晶歪みが長距離にわたって誘起することを示唆する。一方で多くの測定試料においては高温で透過率の著しい低減が見られたことから、反射配置で簡便に測定ができるテラヘルツエリプソメトリの開発を行った。これらは燃料電池を構成する電極材料を評価することが可能である。またジルコン酸バリウムの電極材料の測定が可能なテラヘルツエリプソメトリを簡便に行う手法を開拓し、78K から478Kの広い範囲で伝導度を測定する手法の開拓を行った。プロトン伝導形固体電解質とは別に、本研究の出発点となった酸素伝導形固体電解質であるYドープジルコニアはドープ量が少ないと弾性材料となる。この試料に対してある特定の周波数の高強度のTHz パルスを照射すると体積膨張を伴う格子変形を選択的に誘起し破壊的な破砕が生じることを見出した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Physical Chemistry C
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