研究課題/領域番号 |
21H01023
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所 |
研究代表者 |
岡本 創 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 特別研究員 (20350465)
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研究分担者 |
浅野 元紀 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 研究員 (60867224)
章 国強 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 主任研究員 (90402247)
太田 竜一 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 研究主任 (90774894)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 光キャビティ / ナノワイヤ / 近接場 / 結合 / 振動 |
研究実績の概要 |
本研究は、従来必要とされていたresolved sideband条件や振動子への電気/光配線が不要な新しい量子もつれ生成手法を提案・実証することを目的としている。アプローチとしては、球状シリカからなるWhispering-Gallery型の光キャビティと、2つの半導体ナノワイヤ振動子の近接場結合系を用いる。当該系における光機械結合の大きさは光キャビティとナノワイヤ振動子間の近接間隔に依存するため、振動子とキャビティの間隔を自在に制御できる系の構築が必要である。初年度(2021年度)は、真空チェンバ内で圧電ポジショナを用いてこれを電気的に調節することが可能な系の構築に加え、量子極限を超えたナノワイヤ振動子の変位検出感度の獲得に必要となる10 の7乗を上回る高いQ値を有する光キャビティの作製に成功した。また、新たに導入したレーザー光源を用いることにより、ナノワイヤの振動検出と制御を独立して行えるポンプ・プローブ測定系の構築を完了した。半導体ナノワイヤの振動特性評価についても検討を進め、両端を固定した架橋ナノワイヤ振動子においては、外場を用いることにより直交する2つの振動モードの周波数を個別に制御することが可能であることを示した(Phys. Rev. Appl.誌掲載)。次年度以降は、室温環境における2つのナノワイヤ振動子の近接場結合と、近接間隔の変調制御による古典的スクイーズド状態の生成を図る。また、希釈冷凍機を用いた極低温測 定環境を構築し、ナノワイヤの振動モードを占有する平均熱励起フォノン数を単数以下に下げる取り組みを行う。上記により、2つのナノワイヤ振動子の非古典領域でのエンタングルメントと巨視的量子フォノン系の実現をめざす。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、高Q値光キャビティの作製とポンプ・プローブ測定系の構築に成功したが、室温における古典的スクイージングのデモンストレーションには至らなかった。これには実験に最適なナノワイヤ振動子を探索しながら何度かの測定トライが必要であったが、コロナ感染拡大による出社制限により、これを十分に実行するだけの時間が取れなかったことが理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
出社制限が緩和されつつあるので、2022年度はなるべく速やかに当初計画通りの実験スケジュールへと進捗回復を試みる。
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