研究課題
2018年に報告された2つの固体振動子間の量子もつれ生成は、量子応用へ向けた重要な成果として注目されるが、共振器と振動子をパラメトリックに結びつけなければならず、振動子の周波数が共振器の共鳴線幅を上回るresolved sideband条件が必要となる。このような条件が不要な有効な手法があれば、使用できる構造や周波数領域が格段に広がり、振動子系を用いた量子応用展開が大きく広がる。本研究では上記の課題を取り上げ、resolved sideband条件が不要な新しい量子もつれ生成手法の提案と実証に取り組んだ。具体的には、微小光キャビティの近接場光を用いた手法を提案し、ナノワイヤ振動子系への適用によりその実験実証を試みた。研究期間中には、量子極限変位計測に必要となる超高Q値キャビティの作製や、これを振動体へ近接させた際のQ値劣化問題を解決するラマン増幅を用いた変位計測手法を提案・実証することに成功した。しかしながら、量子もつれ生成に必要となる近接間隔の高速変調に技術的な課題が生じ、期間内での目標達成には至らなかった。一方、研究の過程において高Q値キャビティが連結した新規オプトメカニカル構造を創出することに成功し、これを用いた液中環境での超高感度な振動計測を実現した。今回提案・実証した光キャビティのラマン増幅を用いた近接場変位測定手法は様々な材質や形状から成る振動体へと適用できる汎用性の高い計測手法であり、従来のキャビティオプトメカニクス研究をこれまでにない新規系へと展開できる可能性を広げる。また、連結キャビティ構造を用いた高感度液中計測技術は、従来キャビティオプトメカニクス技術の適用が困難であった液体環境での研究展開を可能とする新技術であり、センサ・材料開発・創薬などの応用の他、液体界面の物理探索や局所的な液中反応の解明など、新たな研究領域の開拓につながる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 11件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
Physical Review Applied
巻: 21 ページ: 024013
10.1103/PhysRevApplied.21.024013
Physical Review Letters
巻: 132 ページ: 036904
10.1103/PhysRevLett.132.036904
Proceeding of 28th International Conference on Optical Fiber Sensors
巻: Th6 ページ: 43
10.1364/OFS.2023.Th6.43
巻: 19 ページ: 054071
10.1103/PhysRevApplied.19.054071
Applied Physics Letters
巻: 122 ページ: 122201
10.1063/5.0141405
光学
巻: 52 ページ: 247
https://www.brl.ntt.co.jp/group/butsume-g/