時間分解電子スピン共鳴法はマイクロ秒の時間分解能で短寿命反応中間体を捕捉できる優れた分光法である。しかし、従来法ではXバンド帯で測定を行っていることからゼロ磁場分裂と呼ばれるエネルギーギャップを持つような整数スピン状態に対しては測定が不可能であった。しかし、多くの遷移金属イオン(Cr4+、Mn3+、Fe4+、Fe2+、Ni2+)では整数スピン状態をとり、触媒・酵素反応において極めて重要な役割を担っていることが知られている。本研究により未開拓であった遷移金属イオンの時間分解電子スピン共鳴測定が可能になれば光触媒反応や金属タンパク質酵素反応の反応機構解明に向けた手掛かりを得ることが可能になる。
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