X線吸収分光と逆モンテカルロ法による中距離合金構造の可視化から,Fe合金の磁気体積効果による熱膨張の異常を原子間の結合の観点から解明した.インバー合金ではFe-Fe対の原子間距離がFe-NiとNi-Ni対と比べて0.02 Åほど長い.このFe-Fe対の伸長は加圧によって減少し,常磁性相に入ると長さが同程度になる.従って磁気体積効果の原子レベルの起源はFe-Fe対の伸長と分かった.興味深いことにインバー合金以外の組成のFe合金でもFe-Fe対の伸長が見られた.このため熱膨張ゼロのインバー効果は,合金中のFe-Fe対の数と強磁性秩序の安定性の繊細のバランスによって発現する.
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