研究課題
基盤研究(B)
圧縮変形下にさらされた細胞核内部において、物質は通常時(無圧縮時)とは異なる拡散挙動を示し、短時間領域において拡散が抑制されることが示唆された。張力が発生するような力学的条件下では、物質の拡散が抑制されることにより細胞核内の秩序構造を一時的に維持しているものと推測される。一定圧縮応力下において、抑制された拡散挙動は時間経過とともに徐々に通常の拡散挙動へとシフトしていく。
ソフトマターのレオロジー
細胞核内におけるクロマチン高次構造の時空間秩序を維持するダイナミクスは、転写・複製・修復等のゲノム機能のみならず、遺伝子疾患・ 癌化・細胞死にも深く関係する。このため、細胞核内部の構造秩序ゆらぎを調べることは物理学的・医学的に重要な課題である。本研究において調べた運動下における細胞核内部のダイナミクスはこれまで明らかにされていない課題である。圧縮により細胞内に発生した張力が核内ダイナミクスに影響を与えることは、運動下では安静時と異なる秩序構造維持メカニズムが存在する可能性を示唆する。