研究実績の概要 |
EC加熱によるトカマク起動において、磁気面形成の前後で主要な電流駆動源となる磁場を横切る通過軌道電子(cross field passing electron, CFP電子)の閉じ込めを通常アスペクト比装置において改善する手法を開発するため、低アスペクト比装置LATE(高さ1m、直径1mの円筒型真空容器)の上部および下部に設置した可動リミタを用いて、装置アスペクト比(垂直方向リミタ間距離 / 水平方向の内側壁と外側リミタ間距離)を変化させた場合でのECHトカマク立上げ実験を行った。
(1) 装置縦長度 K_vv = (Lv / Lh)(Lvは垂直方向のリミタ間距離、Lhは水平方向の内側壁と外側リミタ間距離)を1.7(0.68m/0.39m)、1.95(0.76m/0.39m)、2.3(0.88m/0.39m)の3通りに設定して、トロイダル磁場(624G, R=0.25m)に弱い定常垂直磁場(13G, R=0.25m)を加えた下でのECHによる磁気面形成実験を行った。マイクロ波は2.45GHz(最大55kW、2s)を用い、基本共鳴層をR=0.18mに設定した。 (2) マイクロ波電力、真空容器中心での垂直磁場ディケイインデックスを変化させながら実験を行った結果、装置縦長度が小さくなるにつれ磁気面形成が可能な条件領域が狭くなるものの、マイクロ波電力及びディケイインデックスを高くすれば磁気面形成が可能であることがわかった。具体的には、マイクロ波電力を4kW~22kW、垂直磁場ディケイインデックスを0.07~0.35の間で調べた結果、装置縦長度が最も小さい1.7の場合は、おおよそマイクロ波電力10kW以上かつディケイインデックスが0.2以上が必要であったが、装置縦長度が2.3の場合はほとんどすべての条件で磁気面形成が可能であることがわかった。
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