研究課題/領域番号 |
21H01064
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白神 宏之 大阪大学, レーザー科学研究所, 名誉教授 (90183839)
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研究分担者 |
有川 安信 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (90624255)
Morace Alessio 大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (70724326)
中嶋 誠 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (40361662)
中井 光男 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (70201663)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超高速撮影 / 超短パルスレーザー / レーザー核融合 / 燃焼プラズマ診断 |
研究実績の概要 |
本研究は、高速点火レーザー核融合において、高速加熱を行った直後に加熱波がどのように伝搬するか、その物理機構を解明しようとするものである。核融合プラズマから放射されるX線を、超高画像分解・超高速時間分解計測することで加熱波が伝搬する様子を観測することができれば、加熱波伝搬の物理機構が解明できる。申請者らが発案した新しい手法である、Electro Optical Polymer (EOP)を取り付けた光ファイバー装置と、チャープパルスレーザーと分光器を用いた計測手法を導入することでこれが実現される。研究のステップは、1.シングルチャンネルによる5ピコ秒の超高速計測を開発し実証すること、2.画像分解・時間分解計測を開発し実証すること、3.核融合プラズマ加熱実験においてX線の画像時間分解計測を開発し実証すること、4.加熱波の進行を撮像し、伝搬速度や伝搬波面の様子をシミュレーション等と比較し、正しい物理機構モデルを構築することである。 2022年度の成果により、大阪大学のLFEXレーザーでX線による高速応答信号を得ることに成功した。また当初計画では空間分解計測は、光学レンズによるイメージ伝送を想定した。2022年に新技術として、1本のマルチモードファイバーによる5micron級の分解能のイメージ伝送ができる手法を発案した。この手法に設計変更をおこない、すでに専門家との協議を重ね、実験装置を構築して試験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、2022年度末までに、レーザー核融合実験に超高速・超高空間分解計測を実現させる計画であった。 2023年度は最終年度であり、核融合実験におけるX線によって、加熱波の伝搬を測定するところまで進める。具体的な研究課題として、項目1.高速応答計測の時間分解能を向上させるため、プローブレーザーの波長幅を拡張する改造を行う。項目2.マルチモードファイバーイメージングによる空間分解計測を開発して、5um空間分解を実現する。項目3.レーザー核融合実験、またはそれに同等のレーザーショットにおいて加熱波が伝搬する際に発生するX線を高速度高分解撮影する。項目4.論文出版を行う。2022年度の成果により、大阪大学のLFEXレーザーでX線による高速応答信号を得ることに成功したが、空間分解には至っていない。それは、当初計画では空間分解計測は、光学レンズによるイメージ伝送を想定していた。この手法では実際の装置サイズ(レーザーからEOPまで35m)による制限で長距離伝送が困難であることが判明した。2022年に新技術として、1本のマルチモードファイバーによる5micron級の分解能のイメージ伝送ができる手法を発案した。この手法に設計変更をおこない、すでに専門家との協議を重ね、実験装置を構築して試験を開始している。2023年度末までに新技術により遅れを取り戻し、想定通りの成果が得られると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度である。核融合実験におけるX線によって、加熱波の伝搬を測定するところまで進める予定である。具体的な推進方策は、項目1.高速応答計測の時間分解能を向上させるため、プローブレーザーの波長幅を拡張するためにレーザー装置の増幅部の改修を行う。YbCaF2結晶を用いた増幅器をやめ、Ybガラスファイバーによるファイバーレーザーを採用することで、波長幅を拡張し、伝送中の損失を極限まで減らすことで、想定される性能を実現する。 項目2.マルチモードファイバーイメージングによる空間分解計測を開発して、5um空間分解を実現する。レーザー核融合とはオフラインの小型装置を作り、原理実証を早期に行う。ファイバーイメージングの専門家の協力を得ることで、迅速に開発を進める。項目3.レーザー核融合実験、またはそれに同等のレーザーショットにおいて加熱波が伝搬する際に発生するX線を高速度高分解撮影する。項目4.米国においてレーザー核融合の国際学会IFSA2023において口頭発表を行い、また同時にハイインパクトの論文出版を行う。
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