研究課題
本年度では、昨年度に実施した中性子増倍材であるBeの溶解性評価試験を継続し、先進中性子増倍材であるBe12Ti及びBe12Vの溶解分離試験を実施した。そこで、塩酸濃度の影響、加熱温度・時間の影響、マイクロ波加熱効果など実証した。先ず、塩酸濃度がBeとTiの溶解度に与える影響を調べるため、マイクロ波加熱下での塩酸濃度については、0.5~5mol/Lまでの濃度で調査した結果、1mol/Lの条件でマイクロ波加熱を行うことによって、Tiは殆どTiO2として沈殿され、分離できる一方、Beのみが全溶解されることを明らかにした。次に、溶解溶液ではTi3+溶液が多く存在することを想定し、Ti3+をTi4+に価数変化させ、TiO2として沈殿させるため、過酸化水素(H2O2)の添加効果を調べた結果、その促進効果は見受けられなかった。それに並行し、マイクロ波加熱温度・時間の効果を調べるため、60℃から100℃まで、0分から120分までの時間で溶解試験を行った結果、表面化学反応による溶解が支配的であることを明らかにした。また、マイクロ波加熱効果を検証するため、外部加熱での溶解試験を実施した結果、顕著なマイクロ波加熱による促進効果は認められなかった。これは、難溶性の物質においては、非常に著しい効果を示す一方、ベリライドにおいては、外部加熱でも全溶解は可能であることを示し、デザインウィンドウを広げることに成功した。このような結果から、使用済Be12Tiからは、熱処理で100%除去可能であるトリチウム(水素同位体で実証済)を取り除き、塩酸溶液とマイクロ波加熱(外部加熱)を用いて、全溶解し、放射化に懸念される不純物(U、Th)と表面のBeOを除去するとともに、Tiを沈殿分離することで、100%に近いBe溶解液を製造し、溶融塩電解か、Mg還元法でのBe析出法として、Beを回収する方法を確立した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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