研究課題/領域番号 |
21H01100
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
槇田 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (30199658)
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研究分担者 |
近藤 良也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 専門技師 (30391775)
川井 正徳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 先任技師 (50391735)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニホウ化マグネシウム超伝導線 / クエンチ / クエンチ検出器 |
研究実績の概要 |
2021年度はこれまでの先行研究の中で製作していたMgB2撚線ダブルパンケーキコイルを伝導冷却方式に改造して、小型冷凍機ではなく液体ヘリウムや液体水素を寒冷源とするクライオスタットを整備し、励磁・クエンチ試験を行った。このMgB2ダブルパンケーキコイルは600A通電で1.16テスラの磁場を発生し、10.5 kJの磁気エネルギーを蓄え、インダクタンスは0.056ヘンリーとなる。 液体ヘリウム冷却では特に異常なく定格励磁ができた。一方液体水素で20 K冷却試験をした時には、コイル電極での接続抵抗による発熱で臨界温度まで温度が上昇して電極付近のコイルからクエンチが発生した。クエンチ検出器でクエンチを検出して電源の遮断し、保護抵抗によって急速消磁をした。誤検出を防ぐために閾値を高く設定していたので、クエンチが発生してから10秒以上かかっており、よりエネルギー密度の高いコイルでは誤動作を防ぎ閾値を低くする工夫が必要と考えている。また、クエンチの発生源が、電極部の抵抗発熱であることから、電極の状態をよく観察し、より低い接続抵抗となるよう設計や施工方法の見直しを検討している。 とはいえ、他の高温超伝導コイル(REBCO線材)のようなクエンチの繰り返しによる線材の劣化は観測されていない。これは積層構造のテープ線材である高温超伝導体と比べ金属マトリックス構造のMgB2線材の利点で、コイルをエポキシ樹脂で含浸しても、積層構造が剥離する心配はしなくてよい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先行研究の中で製作していたMgB2ラザフォードケーブルを用いたダブルパンケーキコイルの伝導冷却励磁試験を優先して実施した。このため本研究の中で製作するMgB2ソレノイドコイルの製作がまだ開始できていない。
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今後の研究の推進方策 |
ソレノイドコイルタイプのMgB2超伝導コイルの製作を急ぐ。政策のためのMgB2超伝導線は、調達済みで、コイルの製造を委託できる業者に支給して製作してもらう。並行して小型冷凍機で伝導冷却するクライオスタットを製作する。またクエンチ検出器の基本回路も既存のものを校正し、改造の検討を始める。年末までにはテスト装置の完成を目指し、年度末にかけて冷却、励磁試験を実施する。
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