研究課題/領域番号 |
21H01100
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
槇田 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (30199658)
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研究分担者 |
近藤 良也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, シニアフェロー (30391775)
川井 正徳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 先任技師 (50391735)
谷貝 剛 上智大学, 理工学部, 教授 (60361127)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニホウ化マグネシウム超伝導線 / クエンチ / クエンチ検出器 |
研究実績の概要 |
2022年度は実験的に研究を進めるうえで重要な、試験用MgB2薄肉ソレノイドを2台製作した。先行研究の中で調達していた熱処理済みのMgB2線材で巻線され、2台とも30 cm径、3.3mm厚さ(後述する熱伝導板込み)のソレノイドコイルで長さはそれぞれ12 cmと25 cmとなっている。ソレノイドの内面及び外面には0.2 mmの純アルミニウム熱伝導板が貼りつけられ、小型冷凍機による伝導冷却を前提にした冷却設計となっている。またこの純アルミニウム板は、ソレノイド軸方向のクエンチ伝播を促して局所的な温度上昇を防ぐ、クエンチ保護の役目も担っている。2023年度には、これらの試験用ソレノイドを対象とした冷却励磁試験を実施し、その中でクエンチ特性を測定し、分析する。 試験用コイルの製作と並行して、安定化材をより多く付加したMgB2超伝導線の超伝導安定性とクエンチ時の電圧発生状況を実験とシミュレーションで、研究を進めている。将来大型の超伝導磁石になるとNbTi超伝導線によるこれまでの磁石と同様に、超伝導安定性やクエンチ安全の確保のためより多くの安定化材(銅やアルミニウムなど)が付加された大断面積のMgB2線材となることが予測され、これを模擬した線材サンプルを製作して試験をする。クエンチ時には大断面となった安定化材へ超伝導部から電流が転流するが、クエンチ検出をする電圧の発生状況を知る必要がある。線材サンプル用の試験ホルダーを製作した、計算機シミュレーションも行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本科研費研究以外の業務のうち現地据付及び試運転実施をしている超伝導磁石システムがあり、そちらにエフォートを割いたので、本研究は試験用コイルの製作までにとどまり、試験用テストベンチの整備ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度製作した試験用コイルの冷却励磁試験をまず一般的な液体ヘリウム浸漬冷却で実施し、線材の劣化が発生していないことと電磁力に対する機械的な強度を有していることを確認する。次に小型冷凍機による伝導冷却で励磁及びクエンチ試験を実施し、クエンチ特性を測定する。安定化材を付加したMgB2超伝導線の安定性及び電圧発生観察と計算機シミュレーションも並行して進める。
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