研究課題/領域番号 |
21H01124
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 央明 京都大学, 理学研究科, 教授 (00311184)
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研究分担者 |
堀田 英之 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (10767271)
草野 完也 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (70183796)
飯島 陽久 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (90783952)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 太陽 / プラズマ / 磁気流体 / 恒星 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、太陽質量以下の小質量恒星の、スペクトル型・年齢に対応した特徴量(質量・回転・光度)が与えられたとき、その磁気コロナ(磁場形成・X線紫外線放射・爆発現象)がいかなる様相を示し、いかなる進化をたどり、背景にある物理が何なのか、を数値シミュレーションにより理論的に明らかにすることである。個別課題「(A)X線光度・自転関係 Lx vs Ro」「(B)星コロナ形成」「(C) 突発的X線放射」を設定して取り組む。 本研究計画の2年目である2022年度には、おもに課題(A)について進展があった。堀田・草野らが、前年度に行った太陽差動回転再現計算についてさらに詳しい物理機構解析を進め、高解像度計算により初めて解像された小スケール磁場によるMaxwell応力の影響が差動回転維持に本質的であることを明確にした。堀田と研究協力者の森は、全球計算のデータを用いて角運動量輸送の空間スケール依存性を差動回転維持の観点で詳しく調べた。その結果、対流層厚み程度の相対的に大きなスケールの半径外向き角運動量輸送が重要な役割を果たしていることが判明した。また研究協力者の嶌田と堀田・横山は、堀田らの高解像度計算を平均場モデルの観点で解析し、乱流磁気拡散の解像度依存性を明らかにした。これらの結果については全て査読論文として出版し、学会・研究会発表を行った。また個別課題(C)に関連して、草野が太陽地球環境予測についての書籍を編集した。いくつかの章では、草野・堀田が執筆者として参加している。これとは別に、横山は共著者らとともに、宇宙電磁流体力学についての教科書を執筆出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度には、恒星全球ダイナモに関連して、堀田・草野・森・嶌田らにより、差動回転を自己整合的に実現した前年度の計算結果の詳細な物理解析が進んだ。このことで、自転速度の異なる星、つまり若いあるいは年老いた太陽へと展開する方向性ができた。自転の遅い星の計算は堀田がすでに実行しており、天文学会で草野らと発表している。また星コロナ形成については、飯島らによる輻射磁気流体力学計算により、高温大気コロナや太陽風が実現されているが論文発表はまだなされていない。また、星表面対流作用で生じた磁気エネルギー輸送過程についての詳しい計算も、研究協力者の国吉と横山・飯島らによって実行さてており、天文学会で発表されている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年2023年度には、ダイナモとコロナ形成とを合わせた研究をすすめ、さらに小質量星一般へと研究範囲を広げたいと考えている。星コロナ生成については、すでに実行された計算結果を論文として出版する。また本研究事業全体を俯瞰して、何が達成されたか、何が課題として残されたかについて議論し、次の研究事業へとつなぐ展望を得たい。
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