研究課題/領域番号 |
21H01131
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
柴田 一成 同志社大学, 理工学部, 教授 (70144178)
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研究分担者 |
野上 大作 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20332728)
本田 敏志 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (20425408)
前原 裕之 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40456851)
浅井 歩 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50390620)
一本 潔 京都大学, 理学研究科, 教授 (70193456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 太陽フレア / 恒星スーパーフレア / プロミネンス噴出 / コロナ質量放出 / 宇宙天気 / 系外惑星 / アストロバイオロジー |
研究実績の概要 |
Maeharaらは、2012年、多くの太陽型星で最大級の太陽フレアの10-1000倍のエネルギーを解放するスーパーフレアを365例発見した。その中には太陽と同程度の自転速度の遅い星も含まれており、太陽でスーパーフレアが起きる可能性を示唆した。太陽で大フレアが起きると大規模な質量噴出が発生し、地球で様々な被害が起きるので、スーパーフレアが太陽フレアと類似の質量噴出を起こすかどうかは重要な問題である。 若い太陽型星を観測すればスーパーフレアの発生頻度が太陽より格段に高いので、スーパーフレアの検出も可能となり、質量噴出が検出できる。 そこで、本研究では、若い太陽型星の分光観測を推進すると同時に、太陽フレア・プロミネンス(フィラメント)噴出のThe-Sun-as-a-star分光観測を推進し、恒星観測との比較から恒星フレアにともなう質量噴出を検出するとともに、これらの観測に基づいて恒星フレア質量噴出の統計法則を確立することを目的として共同研究を推進した。 主な成果は以下の通り: (1)岡山天文台3.8mせいめい望遠鏡を用いた分光観測により、若い太陽型星 EK Draで複数のスーパーフレアの観測に成功し、それにともなう質量噴出の証拠を検出するのに成功した(Namekata et al. 2022a,b)。 (2)太陽フレア・プロミネンス噴出の分光観測も推進することにより、きわめて広いパラメータ範囲で、恒星―太陽フレアにともなう質量噴出現象の質量MはフレアエネルギーEと M ∝ E^(2/3)という共通の統計法則にしたがうことを発見した(Namekata et al. 2022a,b, Kotani et al. 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
岡山天文台3.8mせいめい望遠鏡による、若い太陽型星におけるスーパーフレアとそれにともなう質量噴出現象の観測(Namekata et al. 2022a,b)は予想以上の成果であると言える。 これは共同研究者(元京都大学大学院生)の行方博士の活躍によるところが大きい。 一方、飛騨天文台SMART望遠鏡による微小フレアとそれにともなうミニフィラメント噴出の解析から、きわめて広いパラメータ範囲で、恒星―太陽フレアにともなう質量噴出現象の質量MはフレアエネルギーEと M ∝ E^(2/3)という共通の統計法則にしたがうことが発見された(Kotani et al. 2023)。これは共同研究者(元京都大学大学院生)の古谷博士の粘り強い努力と独創的なアイデアによる予想外の重要な成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
岡山天文台3.8mせいめい望遠鏡による恒星スーパーフレアの観測を推進するとともに、飛騨天文台SMART望遠鏡搭載のSDDI(Solar Dynamic Doppler Imager)分光撮像装置を用いて、2021-23年度に得られた太陽フレアおよびそれにともなうプロミネンス(フィラメント)噴出の観測データを用いて、The-Sun-as-a-star解析を行う。すなわち、太陽全体を恒星として空間分解能をなくして見たとき、どのような分光データが得られるか調べる。 さらに、簡単なモデル(Ikuta and Shibata 2023、投稿準備中)を用いて予測計算し、恒星観測との比較を詳細に行う。このような研究から得られた知見を参考にして、これまでになされた恒星フレアの分光観測とIkuta―Shibataモデルの比較を推進し、最終的には恒星プロミネンス(フィラメント)噴出に関わる各種物理量の導出を試みる。
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