極低温の星間分子雲において原子や単純な分子から複雑な分子が生成される初期化学進化過程では、氷で覆われた星間塵(氷星間塵)表面での化学反応が重要な役割を果たすことが知られている。研究代表者らは2020年度までに「氷内部へ水素原子が侵入すること」を見出した。そこで本研究では水素原子の侵入深度の氷構造依存性を明らかにし、他の原子種が同様に氷内部へ侵入することが可能かどうか調べることを目的とした。 本研究により、多孔質の非晶質氷では30 nm以上、星間分子雲で重要な無孔性の氷では2-3 nm程度の深さまで水素原子が侵入することがわかった。また、炭素原子が氷表面を拡散し、氷内部へ侵入しうることを見出した。
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