研究課題
本研究課題は,星間塵を構成する鉱物として最も重要なフォルステライト(Mg2SiO4)の表面において,水素原子と水素分子が化学吸着(化学結合による強い吸着)するかどうかを解明することを目的とする.本年度は昨年度に作製した試料ホルダー(無酸素銅とサファイア製)に鉱物(単結晶フォルステライト)試料を取り付けた.まず,耐熱セラミック接着剤で単結晶フォルステライト試料とタングステン板とを接着した.このタングステン板には側面に直径0.5 mmの貫通穴が開いており,通電過熱用のタングステン線を通すことができる.貫通穴に通したタングステン線を試料ホルダーに接続することで,フォルステライト試料を試料ホルダーに組み込んだ.フォルステライト試料の冷却は,試料ホルダーをヘリウム冷凍機に接続することで行う.試料ホルダーにフォルステライト試料を取り付けた後,実際にヘリウム冷凍機で試料を冷却したところ,試料ホルダーは18 Kまで冷却され,フォルステライト試料は70 Kまで冷却された.この温度差はタングステン線と試料ホルダーの熱伝導が良くないためであると考えられる.またタングステン線の通電によって単結晶フォルステライト試料を加熱したところ,20 Aほどの電流で,1000 Kにまで加熱できることを確認した.また1000 Kまでに加熱した際の試料ホルダーの温度上昇は10 K(温度にして30 K以下)ほどであった.そのため,昇温脱離質量分析法による実験の際に,試料ホルダーの加熱による脱ガスの影響を抑えられることが期待できる.以上より,本研究で達成を目指していた「真空加熱による単結晶フォルステライト試料の清浄化」が可能な実験装置の開発が実現できた.今後はこの装置を用いて,実際に水素原子や水素分子の化学吸着についての研究を本格的に推進する.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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