水素分子は星間空間で最も豊富に存在し,恒星や惑星の材料物質となる重要な分子である.星間空間において水素分子は,水素原子が星間塵(鉱物でできた微粒子)の表面に吸着し,化学反応をおこすことで生成すると考えられているが,鉱物表面でどのような化学反応がおきているかについてはほとんどわかっていない.本研究では,真空環境で鉱物試料を1000 Kまで加熱することで表面の汚染物質(大気中の有機物など)を除去し,さらに星間空間の温度環境である70 Kまで鉱物試料を冷却し表面反応を調べることができる実験装置を開発した.この装置により鉱物の星間塵における水素分子の生成過程について理解が進むことが期待される.
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