研究課題/領域番号 |
21H01147
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
能勢 正仁 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90333559)
|
研究分担者 |
松岡 彩子 京都大学, 理学研究科, 教授 (80270437)
熊本 篤志 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00302076)
淺村 和史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50321568)
山本 和弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (30888730)
寺本 万里子 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (10614331)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ジオスペース / 酸素イオントーラス / 電離層イオン流出 / サブストーム / 磁場双極子化 |
研究実績の概要 |
昨年度までに、(1)あらせ衛星が夜間を飛翔している14か月分のデータを統計解析し、低エネルギーのO+イオンは、磁場双極子化の数分後に現れること、数keVから数10 eV程度までのエネルギー分散性を持つこと、磁気嵐時・非磁気嵐時のどちらにも現れること、磁力線に沿って地球から磁気赤道に向かって流れ出していること、などを明らかにした上、(2)あらせ衛星、Van Allen Probe A, B衛星の合計3機の粒子データを解析し、電離層からジオスペースへ流れ出してくるO+イオンの同時観測例について詳細な解析、および計算機シミュレーションを行った。これらの成果を、国際学術雑誌に2編の論文として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工衛星データの解析、およびその結果を解釈するための計算機シミュレーションを行い、現在までに、国際学術誌であるJournal of Geophysical Researchに2編の主著論文を発表した。また、関連した研究内容について、1編の主著論文と13編の共著論文を発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果に基づき、今後は、特に、内部磁気圏内での低エネルギーO+イオンの空間分布やその時間発展について調査する。具体的には、次のような解析を行う予定である。 *** データ解析 *** あらせ衛星の低エネルギーイオン計測器(LEPi)が計測したデータを解析し、数10~数100 eV程度のO+イオンが現れているイベントを選び出してくる。イベントが観測されたL値、地方時、継続時間、磁気嵐に対する依存性、プラズマ圏界面との相対距離などを統計的に調査することで、イベントの性質の全体像を明らかにする。昨年度までの計算機シミュレーションから、低エネルギーイオンは東向きにドリフトしていく傾向が見られたので、こうしたことが実際に衛星データからも確認できるのかを検証する。 *** 計算機シミュレーション *** Tsyganenkoモデルを用いて、計算機上にジオスペースの磁場構造を再現する。対流電場については、衛星データに基づいて構築されたジオスペース対流電場モデル[Matsui et al., 2013]などを用いる。これらの磁場・電場モデルの中で、低エネルギーO+イオンの軌道計算を行い、電離層から流出してきたO+イオンがジオスペース中でどのあたりに長時間滞留するかを調べ、衛星観測結果と比較する。
|