研究課題/領域番号 |
21H01160
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
冨川 喜弘 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (20435499)
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研究分担者 |
齋藤 芳隆 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50300702)
佐藤 薫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90251496)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 重力波 / スーパープレッシャー気球 / 南極 / PANSYレーダー |
研究実績の概要 |
近年、対流圏・下部成層圏内を長期(>1か月)にわたって浮遊可能なスーパープレッシャー(SP)気球の開発が各国で進められており、特に大気重力波の観測に威力を発揮している。大気重力波は、現在の気候モデルの主要な不確定要素の1つであり、その平均的描像だけでなく、振幅や運動量フラックスの確率密度分布を観測することが求められている。SP気球を用いた観測では、大気重力波の広範な周期帯(約5分~十数時間)全域においてそれらの物理量を得ることができる。本研究では、南極昭和基地でのSP気球観測を実施し昭和基地に設置されている大型大気レーダーPANSYの観測と組み合わせ、大気重力波による運動量輸送の3次元的描像を明らかにする。 南極地域観測63次夏隊で実施したスーパープレッシャー気球観測計画について記述した英語論文をJournal of Evolving Space Activities誌に投稿し、出版された(Tomikawa et al., 2023)。63次夏のスーパープレッシャー気球観測のデータを解析し、水平風速に見られる近慣性周期の変動が慣性振動によることを明らかにした(投稿準備中)。同観測で得られたイリジウムの位置情報データを解析し、南極上空におけるイリジウムの位置情報精度について報告した(Kaho et al., 2023)。また、63次夏に使用したスーパープレッシャー気球は、紫外線耐性が不足していたと考えられるため、ポリエチレンフィルムを二重にした新たな気球を試作し、耐圧・気密試験を実施した。観測装置については、イリジウムモジュール・基板の変更、オプションボードの再設計、気圧センサー用基板の試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に気球や観測装置の改良を実施し、2023年度に予定している昭和基地でのスーパープレッシャー気球観測は予定通り実施できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度後半に南極昭和基地で3回のスーパープレッシャー気球観測を計画しており、実施に向けた国内準備を2023年度前半に進める。また、2021年度に取得したデータの解析結果を論文として取りまとめ、投稿する。
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