研究課題
2021年に石垣島名蔵で採取した化石マイクロアトール8個体について、年代測定を行い、過去の海面変動を推定した。過去の海面変動変化から、気候変動と地震による地殻変動によるものを分離する方法を検討した。その結果、地殻変動の可能性がある急激な海面変化が5~4千年前及び3~2千年前に集中していることが明らかになり、巨大地震のスーパーサイクルの可能性があることがわかった。2018年までに八重山諸島(宮古島、伊良部島、石垣島、西表島、波照間島)で採取した現生のマイクロアトールに基づく20世紀の海面変動曲線及びそれがスロー地震と関連している可能性について、論文として出版した。地形学的に見た隆起速度と測地学的に見た与那国島の隆起速度の矛盾を解決するため、与那国島内でサンゴマイクロアトールの形状を計測し、最近数十年間の上下変動を調べた。その結果、島内の現生マイクロアトールはいずれも頂面がほぼフラットであり、周辺部で高さが緩やかに低くなるハット型の形状をしていることが明らかになった。マイクロアトールの形状から、与那国島は最近約10 cm隆起したと推定した。隆起の開始時期は、与那国島直下で発生したアフタースリップの開始時期(2002年)に近い。また、隆起する以前の上下地殻変動は小さかった可能性がある。これらのことから、与那国島で測地学的に観測された大きな隆起速度の要因として、アフタースリップが関与している可能性がある。
3: やや遅れている
過去の海水準変動曲線を構築したが、気候変動的な要因と地殻変動的な要因とを分離するのが困難であったことから、研究のまとめが予定通りできなかった。
2023年度までの予定であった研究期間を2024年度まで延長し、研究のまとめ・論文投稿を行う。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
巻: 24 ページ: 1-33
10.1029/2022GC010587