研究課題
令和3年度後半に南極の野外調査を実施予定だったが、世界情勢の影響で令和4年度後半に延期となった。そのため、第61次日本南極地域観測隊(2019年出発2020年帰国)で採取した陸上・湖底堆積物試料の分析を精力的に進めた。湖底堆積物柱状試料のCTや主要元素分析などの非破壊分析と分取作業を高知コアセンターで実施した。非破壊分析の結果はデータレポートとして公表する準備を進め、令和4年度前半に投稿予定である。また、貝試料や有機物への放射性炭素年代測定の結果、海水準・氷床変動をはじめとする完新世の環境変動がそれらの試料の微化石・化学分析により復元可能であることが示された。第61次日本南極地域観測隊で採取した陸上堆積物試料に対するルミネッセンス年代測定の結果も国際誌に公表し、放射性炭素年代測定の測定限界(約5万年前)よりも年代が古い試料、特に特に約12万年前の最終間氷期の年代を有するであろう試料に対して、ルミネッセンス年代測定が有用な手法であることを示した。GIAモデルを用いた氷期における南極氷床変動史の復元に関する成果を国際誌に発表した。この成果は最終間氷期から完新世にかけての連続的な南極氷床変動史の構築に繋がるもので、氷期における南極氷床変動メカニズムの解明に繋がると期待される。これらの成果は国内外の学会で発表した。さらに令和4年度後半の南極の野外調査に向け、陸上ボーリング掘削をはじめとする南極観測訓練を複数回実施した。
2: おおむね順調に進展している
南極における野外調査が令和4年度後半に延期となった。しかし、既存の試料の分析を精力的に行い、今後の研究計画の進展に不可欠な研究成果が得られた。
第61次日本南極地域観測隊で採取した南極堆積物試料の非破壊分析の結果をデータレポートとして出版する。また、堆積物試料の微化石・化学分析を進め、完新世おける環境変動を復元する。得られた成果は国内外の学会で発表し、国際誌への掲載を目指す。年度後半の野外観測の成功のため国内訓練を重ね、最終間氷期の南極氷床変動史の復元が可能である試料の採取を目指す。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Quaternary Geochronology
巻: in press ページ: 101298~101298
10.1016/j.quageo.2022.101298
Paleontological Research
巻: in press ページ: in press
10.2517/PR210033
Australian Journal of Earth Sciences
巻: 68 ページ: 1149~1161
10.1080/08120099.2021.1915867
Geology
巻: 49 ページ: 1182~1186
10.1130/G48830.1
Quaternary Science Reviews
巻: 266 ページ: 107079~107079
10.1016/j.quascirev.2021.107079