研究課題/領域番号 |
21H01174
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辻森 樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00436833)
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研究分担者 |
青木 翔吾 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (60801967)
大藤 弘明 東北大学, 理学研究科, 教授 (80403864)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プレート沈み込み帯 / 含水マントルウェッジ / スラブ由来流体 / 蛇紋岩メランジュ / 相平衡モデリング / 2次元動力学モデリング |
研究実績の概要 |
本研究は「収束境界プロセス素過程の定量的理解」と「固体地球システム経年変化の総合理解」を目指し、(1)含水マントルウェッジの広範囲の温度圧力条件をカバーする天然のプレート境界岩、とくに蛇紋岩緩衝熱水系(蛇紋岩メランジュ)の地質と構成岩石から、流体包有物と流体活動の痕跡を先端的な地球化学的手法で系統的に記載し、(2)岩石・鉱物-水流体系の高圧実験・その場観察/分光測定を併用することで、含水マントルウェッジの総合理解を試みるものである。初年度に、天然試料の解析に加えて、高圧実験・その場観察/分光測定で論文成果を上げたことから、2年目は天然試料の解析に加えて、相平衡モデリングと2次元動力学モデリングを軸とした研究についても集中的に実施した。天然試料の解析では、マルチスケールで記載事項をカタログ化するため、1/5000の地質図スケール(野外地質調査)からサブミクロンスケール(透過型顕微鏡を用いた解析)まで、空間スケールを意識しながら記載を行った。天然試料の局所同位体比分析についても地理情報システムを積極的に応用することで、例えば、蛇紋岩のホウ素同位体組成などについて、空間的な変化の可視化に成功した。相平衡モデリングについては、海洋底玄武岩・海洋島玄武岩・斑れい岩、含水変質した海洋地殻、沈み込み堆積物などと、マントルウェッジ蛇紋岩の全岩組成について、連続的な含水鉱物の組成共生関係を計算し、沈み込む海洋プレートとその直上の含水マントルウェッジの間に予想されるいわゆる「ハイブリッド帯」の含水鉱物の変化と含水量の変化を求めた。2次元動力学モデリングについては、初年度の大陸衝突帯の模擬に基づき、海洋プレート沈み込みについてのパラメータの最適化を天然試料の解析と並行して実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題実施2年目は、天然のプレート境界岩、とりわけ、蛇紋岩メランジュ(=沈み込むプレート上盤の蛇紋岩緩衝熱水系)のマルチスケール解析に加えて、相平衡モデリングと2次元動力学モデリングを軸とした研究についても集中的に実施し、相平衡モデリングについては結果をまとめて論文投稿まで完了した。以上のことから、研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの結果を統合して、含水マントルウェッジの総合理解を試みる。特に、これまでの成果から導いた仮説をいくつかの地域を対象にテストし、より確からしい体系づけを行う。
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