研究課題
地球の水は生命を育み、プレートテクトニクスが駆動されるなど地球特有の環境に欠かせない。本研究では、地球形成初期においてマントル中に保持されている水の水素同位体比を求め、「地球の水はどこから来たものか」という問いに対して制約する。本研究ではヘリウム3/4比が高い地球形成初期にトラップされたガス成分を含むとされるハワイ諸島及びアイスランドの火山岩から研究に最適な試料を選定し、ガラスやメルト包有物の揮発性成分量(水、二酸化炭素、フッ素、塩素、硫黄)や水素・硫黄同位体比を2次イオン質量分析計(SIMS)で分析する。得られたデータを解析し、始原マントルの含水量と水素同位体分析比を見積り、地球内部の水の起源と振る舞いに束縛条件を与えることを目的とする。令和5年度は令和4年度に実施したアイスランド調査の試料のメルト包有物の揮発性物質量の分析を行った。これらの含水量が0.1 wt%未満だったものが多く、これまで確立した測定方法では水素同位体比の分析はできなかった。そのために低含水量火山ガラスの水素同位体比の分析法の開発を行った。これまではOHイオンをFC検出器、ODイオンをEM検出器で同時に測定し、6分ほどで分析してきたが、OHイオンをEM検出器に変えて測定時間を30分ほどかけると、高含水量火山ガラスのものと同程度の精度(2SE:±10‰)で測定できるようになった。本手法をアイスランドの試料や中国浙江大との共同研究で西グリーンランドの火山岩のメルト包有物に応用し、地球の水の起源に関して制約を与えることができたので、現在論文を投稿中である。また令和5年度の本研究に関わる研究業績として、4編の学術論文と1編の学会誌内の記事の公表、4つの学会発表を行った。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件)
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