研究課題/領域番号 |
21H01201
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
板木 拓也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (30509724)
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研究分担者 |
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
中山 佳洋 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30840201)
井尻 暁 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (70374212)
菅沼 悠介 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (70431898)
池原 実 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (90335919)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 南極海 / 氷河 / 温暖化 / 古環境 |
研究実績の概要 |
近年、南極では外洋の温暖な深層水が棚氷の下面に入り込むことで棚氷の融解/氷床の海への流出の原因となっていることが示されており、巨大氷冠を有する東南極ではトッテン氷河の融解にともなう海水準上昇が懸念されている。しかし、今後起こるとされている融解の加速を現在の海洋観測データだけで検証することは難しく、過去の融解と海洋変動の記録を合わせて評価する必要がある。第61次日本南極地域観測では、2019年11月から2020年3月に砕氷船「しらせ」を用いた採泥調査が実施され、世界に先駆けて東南極トッテン氷河の前縁域から海底コアが採取された。本研究では、海底コアから精密かつ多様な古環境情報を抽出することで、過去の気候変動によって引き起こされた氷河融解の影響を明らかにし、コンピュータによるモデル計算でそのメカニズムに関する理解を得ることを目的とする。調査の空白域である氷河前縁域の理解が進むことによって、南極氷床と海洋がかかわる気候変動・海水準変動の将来予測の精度向上が期待される。 本年度は、採取された表層堆積物およびコアの基礎データを取得し、当該海域における堆積物の性状に関する分析を行った。また、モデル実験も進め、古環境プロキシーとの比較を行った。様々な条件での実験と古環境データと比較することで、より確からしいメカニズムを検討する予定である。関連する論文1編がNature Comunicationsに受理され、プレスリリースを行った。更に4編が執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、試料の基礎データを取得し、表層堆積物およびコアに関しては論文の執筆も進んでいる。また、モデル計算の境界条件についても整理され、本格的な分析も開始した。
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今後の研究の推進方策 |
コア試料について、さらに年代測定を追加して実施し、各種プロキシーの変化のタイミングを比較する。これらの分析結果をモデル実験と比較することで過去の棚氷と海洋の変動の相互作用に関する議論を行う。
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