気候を決定する因子として大気CO2が社会的な注目を集めている。近年,氷河によって生産される反応性の高い細粒ケイ酸塩鉱物の溶解反応がCO2の消費に寄与したことが提唱されており,これが寒冷化を促進した可能性がある。しかし地質イベントとの関連性に対して直接的な証拠に乏しい。本研究では氷河による削剥作用によって生産された物質が堆積するニュージーランドと南極海の堆積物試料の化学指標(元素比とリチウム同位体比)から,気候変動と氷床形成に対するケイ酸塩風化強度の変化を復元した。過去100万年間ではより新鮮な物質が供給されること,また氷床形成では化学風化が促進されたことが明らかとなった。
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