研究課題
本研究では各種高効率エネルギープラントで応用される最先端耐熱合金の高温クリープ疲労損傷の支配因子を定量的な解明した.クリープ疲労損傷ではほぼ全ての粒界で割れが発生しており,著しい劣化の加速が生じている.この劣化は,粒界への炭化物や酸化物の偏析により加速されることも明らかにした.この劣化損傷の進行過程は,構造材料の高温高負荷環境における劣化損傷が材料を構成する構成原子の式(1)に示す応力依存の異方的増速原子拡散現象に基づき発生することを明らかにした.D = D0exp{-(Q-σV)/kT} … (1)ここでDは拡散定数,D0は定数,Qは熱力学的に定義される平衡状態での活性化エネルギー,σは作用する応力,Vは等価体積,kはボルツマン定数,Tは絶対温度である.応力は引張応力が正の値,圧縮応力が負の値を示す.本式が適用される化学反応(核の発生や拡散)現象は引張応力の作用で加速され,圧縮応力の作用で抑制されることになる.本式を転位や原子空孔の発生や拡散,各種析出物の発生等に適用し,温度と機械的な応力の連成現象として材料組織の劣化機構を解明した.さらに,結晶粒界近傍や母相と析出物間の格子不整合に起因した局所歪み場の存在も局所応力場評価に取り込み,外力と内部歪み場による内力を統合した機械的応力場の解析も加え,クリープ疲労損傷を機械的な損傷に留まらず,化学的な組織変化に起因した応力歪み場との連成損傷と位置づけ,式(1)の応力を時間の関数とし,時間積分することで使用条件に依存した劣化進行の定量的な評価法を提案した.さらに分子動力学解析手法を応用し,電子線後方散乱解析から得られるIQ値の物理化学的意味づけとして原子レベルの欠陥密度との対応性を示した.転位や空孔分布に依存した原子配列の秩序性の劣化と粒界強度の低下の相関関係を定量的に予測評価する手法も提案した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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