研究課題
基盤研究(B)
高温変動負荷環境で使用される耐熱合金のクリープ疲労損傷の加速要因として,結晶粒界や異種材料界面の格子不整合に起因した,歪み誘起異方的増速拡散現象に基づく転位や原子空孔の発生集積による粒界割れ加速現象を定量的に予測評価する手法を開発した.原子拡散の活性化エネルギーの歪みエネルギー誘起減少過程を定式化し,電子顕微鏡により可視化された原子配列の秩序性の乱れに基づく破壊現象に至る過程を連成解析し,破壊の予測を可能にした.
材料強度科学
本研究により,耐熱合金の破壊機構が負荷条件により延性的結晶粒内破壊から脆性的結晶粒界割れに移行するメカニズムが定量的に解明され,構造の破壊を加速する粒界割れの発現を定量的に予測可能となったことは学術分野だけでなく産業における実機の信頼性設計や維持管理に大きく貢献するものと考えている.歪み誘起の異常増速拡散現象に基づく原子空孔の発生・集積から粒界割れに至る過程を定量的に解析する手法の開発が独創的な研究であることは米国機械学会賞受賞初め国内外の学会から高く評価されている.