研究課題/領域番号 |
21H01212
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
磯野 吉正 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20257819)
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研究分担者 |
菅野 公二 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20372568)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 半導体ナノワイヤ / 表面ポテンシャル / ピエゾ抵抗効果 |
研究実績の概要 |
当申請の研究目的は、結晶成長シリコンナノワイヤ(Silicon Nanowire:SiNW)を検出素子とした高感度・超小型機械量センサの実現を目指して、『コア-シェル構造SiNW集積モノリシック型ナノ曲げ試験デバイス』を新開発し、コア-シェル構造SiNWの力学特性を評価するとともに、弾性歪みと表面電位の相互作用がSiNWの歪み誘起電気伝導特性(ピエゾ抵抗効果)に及ぼす影響を解明することである。第一年度では、コア-シェル構造SiNWのシェル層に当たるAl2O3薄膜を負の電荷で帯電させる手法の確立、すなわち「光電効果型電子照射法によるAl2O3絶縁シェル層の固定電荷密度制御技術の確立」を主として取り組んできた。しかしながら、当初想定していた「Al2O3薄膜形成と電子照射の同時プロセス」では、光電効果装置上へのAl2O3成分の堆積により、十分な電子照射が困難であることが判明した。このため、研究期間を延長し、Al2O3薄膜形成と光電効果型電子照射実験を分離して実施する手法に変更するとともに、電子照射条件の最適化を図った。この結果、Al2O3薄膜成膜時の温度、電子照射時のバイアス電圧、総電子照射量の依存性を実験的に明らかにし、とくに、成膜温度とバイアス電圧が固定電荷密度に及ぼす影響が大きいことを解明した。 一方、『コア-シェル構造SiNW集積モノリシック型ナノ曲げ試験デバイス』の作製では、SiNWの架橋成長の成功率が低く、今後予定している曲げ試験に必要なサンプル数を確保することが困難なことが考えられる。このため、SiNW成長の際に用いる金ナノ粒子の分散手法の高精度化を図り、SiNW架橋成長の成功率を高めていくこととする。 第二年度は、得られた電子照射条件下でAl2O3シェル層をSiNWに堆積させる実験を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コア-シェル構造SiNWのシェル層に当たるAl2O3薄膜の電荷制御実験に関して、当初想定していた「Al2O3薄膜形成と電子照射の同時プロセス」では、光電効果装置上へのAl2O3成分の堆積により、十分な電子照射が困難であることが判明した。このため、対応策として、Al2O3薄膜形成と光電効果型電子照射を分離して実施する手法に変更するとともに、電子照射条件の最適化を図ることとした。 一方、『コア-シェル構造SiNW集積モノリシック型ナノ曲げ試験デバイス』の作製では、SiNWの架橋成長の成功率が低く、本研究で必要な曲げ試験デバイス数の確保が困難な状況である。このため、SiNW成長の際に用いる金ナノ粒子の分散手法の高精度化を図り、SiNW架橋成長の成功率を高めていくこととする。
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今後の研究の推進方策 |
第二年度では、『コア-シェル構造SiNW集積モノリシック型ナノ曲げ試験デバイス』の作製と、小型曲げ試験装置の開発に絞って、研究を進める予定である。とくに前者では、第一年度で確立した電子照射法を用いて、SiNW上に成膜したAl2O3シェル層の固定電荷密度の制御を実施する。曲げ試験装置の開発では、如何に小さくコンパクトな装置として設計・開発し、ラマン分光装置直下に設置できるかが、高精度なSiNWのひずみ計測の実現には重要となる。
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