研究課題/領域番号 |
21H01214
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
多田 直哉 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (70243053)
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研究分担者 |
上森 武 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (70335701)
坂本 惇司 岡山大学, 自然科学学域, 助教 (50752052)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | チタン合金 / 不均一変形 / 変形の局所化 / 破壊 |
研究実績の概要 |
研究の第2年度に当たる本年度では,初年度に導入した3D測定レーザー顕微鏡および現有の測定機器を活用して,純チタンおよびチタン合金Ti-6Al-4Vの薄板,薄膜,細線に関して段階的引張試験および微視的変形の観察を行った.まず,純チタン薄膜に関しては,切欠き周辺におけるすべり変形が巨視的応力分布を考慮したすべり活動度で整理できることを確認するとともに,細線の段階的引張試験を実施し,細線の直径と結晶粒径の比によって変形の局所化や破壊プロセスが異なることを明らかにした.また,細線では材料表面が曲率の大きな曲面となるため,結晶方位の取り扱いが難しくなるが,曲面を平面に変換する新たな方法を提案し,それを用いて通常の平板試験片と同等の評価をすることが可能となった.さらにチタン合金Ti-6Al-4Vの引張に関しては,純チタンとは大きく異なる引張変形の局所化や破壊挙動が観察された.これは,側面からの複数の微小き裂の発生とそれらを結ぶせん断帯の発生が互いに連携しながら変形と破壊が進行するというものである.これに関しては,再現性も含めて次年度も継続して検討する予定である. 次に,結晶塑性有限要素法に関しては,実際に観察される結晶粒とほぼ同じ形状,結晶方位を有する多結晶体モデルを作成するプログラムを作成し,純チタン薄膜の引張に関して解析を実施した.その結果,各結晶粒のすべりやすさを表す指標である修正シュミット因子を用いることにより解析上でもすべり変形の発生予測が出来るという結論を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,3D測定レーザー顕微鏡を用いた変形評価の高精度化が達成でき,純チタンおよびチタン合金の不均一変形の評価が出来ている.また,解析に関しても多結晶モデルの準備が整った.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に導入した3D測定レーザー顕微鏡および現有の走査型電子顕微鏡と結晶方位解析装置用い,引き続き純チタンおよびチタン合金Ti-6Al-4Vの薄板および薄膜試験片の引張試験を実施し,不均一弾性変形および後続の塑性変形の関係について検討する.特に純チタンに関しては,初期変形に見られる偏りが小さいため,丸穴等で変形箇所を集中させることにより注目箇所を限定する.また,チタン合金Ti-6Al-4Vに関しては,純チタンとはかなり異なる変形および破壊プロセスを示すことが明らかになったため,その原因について微視的変形の観点から検討する.さらに,結晶塑性解析に関しては,多結晶体モデルを構築する準備が整ったため,多結晶純チタンの微視的変形を支配する力学量について実験結果と対応させながら検討する.
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