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2022 年度 実績報告書

アボガドロ定数にトレーサブルな超高精度フリーフォーム形状測定技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H01232
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

尾藤 洋一  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 副研究部門長 (30357842)

研究分担者 近藤 余範  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (10586316)
早稲田 篤  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (20272172)
倉本 直樹  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 首席研究員 (60356938)
水島 茂喜  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60358091)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード精密計測 / 三次元計測 / 計量標準
研究実績の概要

本研究では、密度測定に基づく基準球直径の超高精度測定及びランダムボール法によるプローブ球校正技術及び、高精度幾何ゲージによる空間座標補正法を用いてマイクロCMMと呼ばれる小型の接触式形状測定装置の革新的高精度化に取り組んでいる。2022年度は、2021年度に引き続き、直径約30 mmのシリコン単結晶球(基準球)において、圧力浮遊法による密度値測定の高度化に取り組んだ。圧力浮遊法は、固体試料とほぼ等しい密度の液体中に、標準試料と測定試料を浮遊させ、その浮遊高さの差から標準試料とのわずかな密度差を算出するもので、超高精度な標準シリコン球(1 kg)を密度測定の標準試料とすることで、10-7レベルの相対不確かさで密度値の決定に成功するとともに、シリコン材料以外の基準球においてもその実現可能性の検討を行い、窒化ケイ素球における適用可能性を見出した。さらに、超高精度質量測定と組み合わせることにより体積値を決定し、複数個のシリコン基準球に対して、平均直径値を高精度に算出することに成功した。
また、算出されたシリコン基準球の平均直径値の妥当性検証に向けて、レーザ干渉計を搭載したマイクロCMM (Micro Coordinate Measuring Machine)による高精度球直径測定システムの構築に取り組んだ。構築システムでは、2021年度において、独自開発した両面干渉式のレーザ干渉計システムにより、低熱膨張材料で作成された標準ブロックゲージ寸法の値付けを行ったが、2022年度においては、表面粗さが小さくより高精度に値付けが可能なシリコンを材料とするブロックゲージを作成し、そのシリコン製ブロックゲージの値付けを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの取組により、本研究課題達成に向けて最も肝となるシリコン基準球の平均半径の高精度校正において、超高精度な標準シリコン球(1 kg)を基準とした密度測定と超高精度質量測定との組み合わせにより、10-7レベルの相対不確かさでの体積値の決定に成功している。これは、直径約30 mmのシリコン単結晶球(基準球)の平均直径において、10 nm以下の不確かさに相当する。また、シリコン基準球の平均直径値の妥当性検証に向けて、レーザ干渉計を搭載したマイクロCMM (Micro Coordinate Measuring Machine)による高精度球直径測定システムも構築している。
さらに、ランダムボール法によるプローブ球校正を実施する際に必要となる要素技術として、シリコン基準球を任意の角度で回転させることが可能な装置の開発や、マイクロCMMの空間座標補正に必要となる平面基準ミラー、XY直交補正基準器、XZ・YZ直交補正基準器の設計も既に実施済みである。
加えて、本研究での最終ターゲットであるマイクロCMMによる自由曲面形状測定において、その精度評価の際に比較対象として必要となる球面フィゾー干渉計の精度検証に向けて、基準球面の校正技術の開発にも既に取り組んでいる。
以上より、本研究は概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

これまでの取組により高精度質量及び密度測定を行い、体積値より平均直径値を算出したシリコン基準球を用いてマイクロCMMプローブ球の校正を試みる。
具体的には、以下の取り組みを実施する。①プローブ球の校正時にシリコン基準球をランダムに回転させ、その形状測定結果を平均化することにより(ランダムボール法)、疑似的に形状偏差のない理想球に近い状態の基準球を実現し、そこからプローブ球の形状偏差マップ(誤差補正マップ)を算出する。②体積値より算出したシリコン基準球の平均直径値を用いてプローブ球の平均半径値を算出する。
ランダム法に関しては、正多面体(8, 12, 20面体)を構成する立体角を基準としてシリコン基準球を回転させるシステムをことにより、ランダムボール法による平均化直径≒実際の基準球の平均直径となるようにし、プローブ球の誤差補正マップを25~15 nm程度の不確かさで算出することを目標とする。
さらに、高精度幾何ゲージによる空間座標補正法の開発に取り組む為、平面基準ミラー、XY直交補正基準器、XZ・YZ直交補正基準器といった基準器の設計、製作にも取り組む。
また、シリコン基準球だけでなく、汎用性・加工性の高い窒化ケイ素基準球によるプローブ球校正システムの実現に向けて、圧力浮遊法と液中ひょう量法のハイブリッド密度測定システムの構築にも取り組む。具体的にはまず、液中ひょう量法による窒化ケイ素基準球の密度測定の実現に向けて、その測定標準となるシリコン材料の圧力浮遊法による密度値の値付けに取り組む。
また、シリコン基準球の平均直径値の妥当性検証に向けて、レーザ干渉計を搭載したマイクロCMM (Micro Coordinate Measuring Machine)による球直径測定システムの高精度化にも取り組む。

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公開日: 2024-12-25  

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