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2021 年度 実績報告書

低速クリープをともなう固着現象を合理的に記述する摩擦則の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21H01236
研究機関横浜国立大学

研究代表者

中野 健  横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (30292642)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード摩擦則 / 静摩擦 / 動摩擦 / 固着 / すべり
研究実績の概要

固体の接触面に作用する摩擦力には、静摩擦と動摩擦と呼ばれる二種類が存在すると言われている。しかし、相手面に固着して静止しているかのように見える物体であっても、実は極めて低速な運動(低速クリープ)が認められるという実験報告が複数存在することから、静摩擦の存在は必ずしも学術的に立証されていない。そこで本研究では、「静摩擦とは何か?」という学術的問いのもと、低速クリープをともなう固着現象を合理的に記述する摩擦則の構築を目的として、研究代表者がその重要性を発見した面内ミスアライメントと呼ばれる幾何学的概念を物理モデルに導入し、理論、実験、数値解析により国際共同研究を推進する。

低速クリープをともなう固着現象を合理的に記述する摩擦則の構築を目的として、まず「①単点接触系」の摩擦則の構築に取り組み、次に「②多点接触系」へ拡張する。本年度は①に専念し、設定した4個の研究項目「1. 物理モデルの構築」、「2. 実験データベースの構築」、「3. 計算データベースの構築」、「4. 摩擦則の構築」のうち、①-1、①-2、①-3に注力した。

「①-1. 単点接触系:物理モデルの構築」では、面内ミスアライメントを有する単点接触系の物理モデルを構築した。「①-2. 単点接触系:実験データベースの構築」では、構築する摩擦則の鍵となる低速クリープと摩擦力の回転を同時計測可能な試験機を開発した。同試験機を用いた実験を実施して、物体の運動と摩擦力ベクトルの時系列信号を獲得した。面内ミスアライメントを主たるパラメータとして、理論の検証に必要な実験データベースを構築した。「①-3. 単点接触系:計算データベースの構築」では、①-1で構築した物理モデルに基づき、時間発展シミュレーションを実施した。①-2に準じたパラメトリックスタディを通して、理論の検証に必要な計算データベースを構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画時に設定した研究項目「①-1. 単点接触系:物理モデルの構築」、「①-2. 単点接触系:実験データベースの構築」、「①-3. 単点接触系:計算データベースの構築」をほぼ完了し、理論と実験の整合性もおおむね良好である。ただし、理論的には摩擦力が零となる静的な接触において、実験では明確な方向性を示す摩擦力ベクトルが観測される場合があることから、理論モデルまたは実験モデルの修正を要する可能性がある。なお、国際連携に関しては、2022年03月にベルリン工科大学の Valentin L. Popov 教授を招聘(2022年06月まで滞在の予定)し、準備を整えた。

今後の研究の推進方策

現在までの進捗状況がおおむね順調に進展していることから、基本的には当初の計画に沿って研究を推進する。ただし、上記に示した理論と実験の相違点(静的な接触において観測される明確な方向性を示す摩擦力ベクトル)は、本研究の学術的問い(静摩擦とは何か?)の核心に触れる問題であることから、理論と実験の両面から慎重に検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [国際共同研究] ベルリン工科大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ベルリン工科大学
  • [学会発表] Contact and Friction of Elastomers2022

    • 著者名/発表者名
      K. Nakano
    • 学会等名
      International Symposium on Automotive Tribology 2022(Taiho Kogyo Tribology Research Foundation & Taiho Kogyo)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] マクロな静摩擦の異なる描像「動的固着モード」について2021

    • 著者名/発表者名
      中野 健
    • 学会等名
      日本表面真空学会学術講演会(日本表面真空学会)
    • 招待講演
  • [学会発表] 動的固着モードについて2021

    • 著者名/発表者名
      中野 健
    • 学会等名
      第3回環境にやさしいパワートレインのためのトライボロジー研究分科会(日本機械学会)
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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