研究課題
壁に沿う乱流場の核心的構造である「渦」の生成・発達・消滅過程を含むライフサイクルを,新たに導出した渦構造の輸送方程式を用いて定量的に解明し,さらに,従来勘案できなかった渦の時間発展に着目し,摩擦抵抗の高効率な低減制御手法を確立することを目的として,以下の2項目を実施した.① 従来から大きな抵抗低減効果を有することが報告されていたV制御(壁面からある距離における壁垂直方向の速度成分をセンシングし,その逆位相の吹出し・吸込み速度を壁面上の制御入力として与える制御)を渦の発達,消滅過程ごとに効果を確認した.その結果,渦の発達過程にV制御を適用すると渦はより早く減衰するが,他方,渦の減衰過程に適用しても渦の減衰は早まらなかった.よって,渦の発達過程のみにV制御を与える新たな制御則がより効果的であることを示している.② 渦の情報を加味した深層強化学習を用いてV制御の改良を試みた.具体的には,畳み込みニューラルネットワークと全結合層を用いたモデルを用いた.学習用の入力として,壁面からある距離における壁垂直方向の速度と渦の強度を採用し,出力は壁面上での吹き出し・吸い込み速度である.学習により得られた制御則は,渦が壁から遠ざかる領域では吸い込みが強く,渦が壁に近づく領域では吹き出しが弱くなる特徴を有する.また,V制御と比較して抵抗低減率は及ばないが,より少ない入力エネルギーで高い制御効果が得られる(制御効率が高い)ことも分かった.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Heat and Fluid Flow
巻: 104 ページ: 109214~109214
10.1016/j.ijheatfluidflow.2023.109214
https://iwamoto.lab.tuat.ac.jp/