研究課題/領域番号 |
21H01250
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村川 英樹 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40467668)
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研究分担者 |
齊藤 泰司 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (40283684)
杉本 勝美 神戸大学, 工学研究科, 助教 (40420468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 二相流 / 液体金属 / 磁場 / 超音波 / ボイド分布 |
研究実績の概要 |
申請者が開発した超音波トモグラフィ法を用いて、ガリウム合金中を上昇する連続気泡を対象に、気泡径、気泡間隔および水平磁場印加時の気泡挙動を実験的に評価することを目的に、研究を実施した。 超音波トモグラフィでは、センサを設置した計測断面での瞬時ボイド分布を計測するため、一断面での計測では気泡の三次元挙動を評価することが出来ない。そこで近接した二断面での計測を実施することで、二断面間での時間遅れに基づき気泡の速度ベクトルの算出を行う手法を開発した。気泡の上昇速度およびトモグラフィ計測の時間分解能を考慮し、二断面間の距離を15mmに設定した。トリガ信号を制御することで、センサからの超音波送信間隔を0.125msに設定し、各断面を1msの時間分解能で気泡分布を計測した。二断面での計測は2ms間隔で交互に実施した。気泡が計測断面を通過する際、気液界面によって得られる超音波反射強度が高くなる。これにより、気泡が測定体積内の厚み方向中央を通過した時刻における断面再構成画像を決定した。再構成画像によって得られる気泡形状に対して、画像処理によって楕円近似を実施することで気泡の重心座標を算出し、二断面間での重心座標の変化、および計測の遅れ時間から気泡の三次元挙動の算出を実現した。水中において固体球および上昇する気泡に対して実験を実施し、高速度カメラとの比較により±10%の誤差にて、気泡上昇速度の計測が可能であることを示した。 ガリウム合金中を上昇する気泡鎖に対して、一断面によるトモグラフィ計測を実施した。水平磁場印加による影響を評価した。体積等価径が約5mmである気泡において、水平磁場を印加することで気泡の揺動が抑制されること、気泡が容器断面の一定領域に集中して気泡が上昇することを示した。さらに気泡流量が多い条件では、水平磁場に直交する方向において、気泡が僅かに分布することを実験的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気泡の三次元挙動を評価可能な二断面計測システムの構築を行い、計測システムの妥当性について評価できている。これにより、液体金属中の気泡挙動について、気泡の揺動運動の評価が可能である。一断面において、水平磁場を印加して計測した結果をもとに、磁場印加時の気泡挙動への影響について評価を行った。体積等価直径5mm程度の単一の気泡鎖において、磁場強度および磁場印加方向の影響について実験的な知見を得ることが出来た。特に、気泡挙動が電磁力によって変化すること、先行気泡によって生じる後流と磁場の影響について、従来得ることが出来なかった知見を実験的に得ることが出来た。さらに本計測システムを用いて、液体金属に起因する気液密度比および表面張力の影響による気泡流動の違いを解明可能であることを示している。よって、当初の予定通りに研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築してきた二断面計測システムを用いて、液体金属中の気泡鎖を対象として、水平磁場による影響について評価を行う。従来は、計測断面を通過する気泡の通過位置の時間変化のみが評価可能であったが、気泡の三次元挙動を解析することで、揺動の大きさや方向など、より詳細な気泡の三次元挙動の取得を行う。さらに主に液相速度の取得のためにパルスドップラ法とトモグラフィ法の同期計測を行うことで、瞬時の流動とボイド分布の比較を可能とする。これらのシステムを用い、同一気泡径で異なる気泡離脱周期の連続気泡における実験を実施することで、電磁力と気泡間距離および気泡径の違いによる気泡流動への評価を行い、気泡後流が及ぼす後続気泡への影響について解明する。
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