研究課題/領域番号 |
21H01252
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
玉川 雅章 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (80227264)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マイクロ衝撃波 / フェムト秒レーザー / 再生医療 / 衝撃波生成機序 / 気泡生成機序 |
研究実績の概要 |
今年度については,水中でフェムト秒レーザを用いたマイクロ衝撃波の生成と可視化について,マイクロ衝撃波の波面(密度変化層)の観察を高速度ビデオカメラとフォトダイオード,さらには圧力計測の併用により行い,以下の結果を得ている.
(a)フォトダイオードと圧力計測の結果から,マイクロ衝撃波生成機序の一部として,衝撃波生成後に気泡が発生しそれが崩壊する際には急峻な高圧力場が発生していることがわかった.また,圧力波形としては,1番目の衝撃波,2番目の高圧力波があり,これとフォトダイオードの気泡変形挙動と対応関係がみられたが,3番目の衝撃波についてはその機序が未解明のままである.一方,このフォトダイオード信号から,フェムト秒レーザ誘起衝撃波の後に生成した気泡についても,Rayleigh-Plesset 方程式と同様の膨張・収縮運動があることがわかった. (b)また,このフォトダイオード信号の計測から,スパイク波形が距離に対して密度変化が正から負に変化することから,観測用のレーザを用いることでフェムト秒レーザ集光点近傍で,衝撃波形成を測定できる可能性が得られた.すなわち,衝撃波生成の空間的情報の取得も可能である可能性が示された (c)一方,高速度カメラを用いた観察実験からは,レーザ集光により発生する微小気泡を確認できたものの,集光部からマイクロ衝撃波が生成していると予測される時間における密度変化を画像上では捉えることができなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題の1つである(2)気泡の大きさとカプセル膜の弾性率(物性値)による破膜への影響の観察については,高速度カメラの導入時期が遅れ,衝撃波観察を優先して行ったため,気泡内包のカプセル膜を製作して観察する段階であり,その観察や計測が遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
(1)マイクロ衝撃波の水中での密度変化を捉えるための光学系の改善や光源の改良による光量の増加などを行い,高速度カメラとフォトダイオードの総合的計測により,フェムト秒レーザ誘起マイクロ衝撃波生成の機序をさらに解明する,(2)カプセル膜の弾性率の変化については,マイクロマニュピレーションシステムの改良と計測システムの融合により,より効率的な計測ができる実験系とする.
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