最終年度については,前年度達成できていなかった水中でフェムト秒レーザを用いたマイクロ衝撃波の生成と可視化について行った.特に,マイクロ衝撃波の波面(密度変化層)の観察を高速度ビデオカメラで追うことを行い,フォトダイオード,圧力計測などの併用により以下の結果を得ている. (a)昨年度からの大きな進展としては,高速度カメラを用いた観察実験において,光源を連続レーザとして観察部での光量を増加させたところ,集光部からマイクロ衝撃波が生成した後の波面とその伝播を高速度画像で2次元的に捉えることができた.しかしながら,高速度カメラのフレーミングレートとその制御信号の制約から,前年度に得られた200ns内の衝撃波の初期生成部分についての高速度画像が正確には取れていない. (b)マイクロ衝撃波生成を粘性や体積弾性率を変化させることを想定していたため,水のほかにシリコンオイルでも同様の観察を行ったが,シリコンオイルでは密度変化が大きく出るためより鮮明な波面画像を得ることができた.それぞれの媒体での波面伝播速度の違いについても,それぞれの媒体の音速から得られていることが確認できた (c)前年度に行ったフォトダイオードによる光学計測の光量変化の2階の空間積分から密度分布を得る手法を,マイクロ衝撃波の高速度画像に対して適用したところ,フェムト秒レーザ集光点近傍で,水とシリコンオイル中での衝撃波形成を示す指標の衝撃波厚さについて解像度の制約があるものの,定性的にはその厚さの大小を示すことができた. (d)一方,粘性の変化による波面挙動の変化や細胞膜モデルである弾性壁近傍での衝撃波挙動については,期間内では達成できなかった.
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