研究課題/領域番号 |
21H01256
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早川 晃弘 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (90709156)
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研究分担者 |
小林 秀昭 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30170343)
COLSON SOPHIE 東北大学, 流体科学研究所, 特任助教 (60898386)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アンモニア / 高圧燃焼 / 乱流燃焼 / 乱流火炎構造 / 乱流燃焼速度 / レーザー計測 |
研究実績の概要 |
東北大学流体科学研究所の高圧燃焼試験設備を用いて,予混合気温度573 K,圧力が0.3 MPaおよび0.5 MPaの高圧環境下までアンモニア/空気予混合気の乱流燃焼実験を行った.まず,熱線流速計を用いて乱流特性を評価した.次に,乱流燃焼実験を行った.予混合気温度を高くすることによって,燃焼速度の遅いアンモニア/空気火炎であってもバーナー上に定在させる事に成功した.アンモニア/空気乱流予混合火炎の瞬時火炎構造を,OH-平面誘起蛍光計測(OH-PLIF)により計測した.この結果,アンモニア/空気乱流予混合火炎の火炎構造はメタン/空気乱流予混合火炎や水素/アンモニア/空気乱流予混合火炎と比較して火炎面にカスプ構造が観察されず,また火炎面の凹凸スケールが大きく滑らかな形状であることが分かった. 次に,得られた瞬時断面構造から平均反応進行変数を評価し,その等値面から乱流燃焼速度を求めた.層流燃焼速度で無次元化した乱流燃焼速度ST/SLの値は,層流燃焼速度で無次元化した乱れ強さu’/SLが大きくなるにつれて大きくなった.また本研究では当量比0.8および0.9の条件で乱流燃焼速度を評価したが,無次元化した乱流燃焼速度特性に及ぼす当量比の影響は本研究の範囲内では観察されなかった.また,同一のu’/SLにおいては,圧力が高い0.5 MPaの条件の方がST/SLの値は大きくなった.これは高圧条件で火炎面形状が複雑化したため,火炎表面積が増大したためであると考えられる. 以上のように,令和3年度は高温・高圧環境におけるアンモニア/空気乱流予混合火炎の火炎構造および乱流燃焼特性を実験的に明らかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は高温・高圧環境下における乱流特性の計測およびアンモニア/空気予混合気の乱流燃焼実験を行った.その結果,高温・高圧環境におけるアンモニア/空気乱流予混合火炎の火炎構造や乱流燃焼速度といった重要な乱流燃焼特性を実験的に明らかにすることができた.さらにアンモニア/空気乱流予混合火炎の火炎面構造は,メタン/空気乱流予混合火炎や水素/アンモニア/空気乱流予混合火炎と比較して滑らかである事が明らかとなった.このように,アンモニア/空気予混合火炎の乱流燃焼実験は当初計画以上の進捗があった. これに並行して,火炎構造の詳細解明のための実験系の検討と準備を進めた.詳細な火炎温度計測に向けて色素レーザーと分光器を導入した.さらに高圧燃焼容器内に設置可能な層流燃焼実験用バーナーの検討を行い,装置の準備を進めている. 以上を総合的に判断すると,進捗に前後は見られるものの,全体的には順調に進捗していると評価することができる.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,アンモニア/空気予混合火炎のレーザー計測に向けた検討を行う.OH-PLIF法による平面火炎構造の解明や,令和5年度に実施予定のLITGS(Laser Induced Thermal Grating Spectroscpy)法による火炎定量計測実施に向けた準備を進める.まずはこれまで研究室で実績のある平面よどみバーナーを対象とする.バーナーは高圧燃焼実験装置内に設置できるようにわずかな改造が必要であるが,主要な部分は用意ができている.OHを励起対象化学種としたLITGSを行う予定であるが,NOを対象とした場合も望ましい可能性もあるので,詳細な実験計画立案に向けて多面的に検討を進める.具体的には定容容器内にNOを封入し,非燃焼状態の予混合気に対するNO-LITGSを実施し,計測結果に及ぼす圧力や励起化学種濃度の影響を実験的に明らかにする. さらに令和3年度に導入した色素レーザーと分光器を用いて,アンモニア/空気層流予混合火炎の火炎構造定量計測に向けた光学系の検討と準備を行う.新たに導入した装置と研究室現有のレーザー設備を組み合わせて,予備的な計測実験から着手する.
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