航空機など大型構造物の欠陥や損傷の検出は,検査員の目視による方法が一般的である.広域の非破壊検査を短時間で実現するために,応募者は,レーザー誘起プラズマ(Laser-Induced Plasma: LIP)加振により生成されたLamb波(弾性波)を用いる方法を実現した.本手法により,非接触非破壊で人工的に設けた亀裂を検出できた.接触式デバイスでは100点計測(検査領域は1辺が100 mmの正方形)に6時間を要していたものを,本手法では2601点計測で40分に短縮することに成功したが,さらなる短縮化が必要である.本研究では,LIP加振と偏光干渉計を組み合わせたLIP偏光干渉計を構築する.そして,本システムによりLamb波を面計測(従来は点計測)することで,広域非破壊検査の時間をさらに短縮する. 令和3年度は,偏光干渉計を導入し,調和加振における振動応答を計測した.本システムにより,ミラーを供試体として,固有振動数,固有振動モードが計測できることを確認した. 令和4年度は,偏光干渉計で,前年度と同じ供試体に対してLIP衝撃波により生成されたLamb波を面計測し,Lamb波の伝播を可視化した.特定の周波数成分におけるLamb波の位相速度の計測に成功した. 令和5年度は,前年度と同様のシステムを用いて100 kHzまでのLamb波の位相速度の分散曲線を求め,Rayleigh-Lamb方程式により解析的に得られたものと比較評価し,両者が良く一致することを明らかにした.また,供試体の板厚を変化させても同様に100 kHzまで位相速度を求めることができた.
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