これまで扱いが難しかった(ロボットにとって)未知の表面特性をもつ物体の把持・操りが可能なロボットハンドシステムの実現を目指す.実現のカギは,1)未知なる表面状態を観察・認識し,2)その状態を清浄かつ把持・操りに適した摩擦状態にする界面洗浄・摩擦制御の実現にある.以上を目的に,本年度では,以下の事案を実施した. 1.FBG(Fiber Bragg Grating)センサをソフトロボット指の接触面に組み込み,そのひずみの値から接触面の状態を推定する手法の改善を行い,表面の摩擦状態を推定する手法を改良した.2.エタノール等の液体滲出により物体表面の油などの汚れを洗浄できるロボットハンドシステムを開発した.3.1と2の項目で開発したシステムを融合し,物体表面の汚れを洗浄しながら,表面の摩擦状態を推定できるシステムを開発した.物体の汚れを洗浄した後で,表面の摩擦状態を推定し,物体をハンドリングするのに十分な摩擦が得られたと判断したら,物体をハンドリングするシステムを開発した.実験によりこの手法のその有効性を検証した.油まみれでハンドリングできないことを確認した物体を洗浄によりハンドリングすることに成功した.4.流量の制御により,放出と吸引を切り替えるソフトロボットデバイスに振動体を追加することで,音によりかかる荷重とその位置を計測できるシステムを開発した.5.表面の抵抗値を計測し,純水の滲出(洗浄)によりその抵抗値を下げるシステムを構築した.
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