研究課題/領域番号 |
21H01301
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
五十嵐 一 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90212737)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トポロジー最適化 / 永久磁石モータ / 最適設計 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
トポロジー最適化は,寸法や位置などの形状パラメータを事前に設定して最適化するパラメータ最適化とは異なり,穴の生成・消滅を含めて自由に物体を変形して,最適形状を探査する.本研究では,永久磁石モータの最適設計法を大きく拡張し,鉄心のみならず永久磁石の形状と配向を自由変化させるとともに,モータ軸方向への構造変化を包含する3次元トポロジー最適化を実現する.本研究により,電気自動車などに使用される薄型モータの性能向上を実現とするとともに,たとえば軸方向に回転子が磁石埋め込み型から表面磁石型に変化するような,全く新しいモータ3次元構造の獲得と,それによるモータ性能の飛躍的向上を目指す.さらに本最適化法を設計現場で活用可能にするため,3次元深層学習による高速化を実現する. 本年度は,上記目的のために次の研究を実施した.(i)永久磁石モータを回転軸方向に数層に分け,それぞれの層で最適な断面形状を求める2.5次元のトポロジー最適化を実現した.これにより,高い平均トルクと極めて低いトルクリプルを持つ新しい永久磁石モータを見出すことができた. (ii)極数やスロット数,永久磁石配置・構造などの大域構造と,フラックスバリアや固定子ティースなどの局所構造を同時に最適化するために,モンテカルロ木探索を用いた最適設計法を開発した.本法により,モータの大域構造と局所構造の同時最適化が実現できることを数値解析により実証した. (iii)永久磁石モータのトポロジー最適化を高速化するために,モータ断面の画像から電流-トルク特性と電流-磁束特性を推定するための深層学習器を開発した.深層学習によるトルク特性の高速な予測により,トポロジー最適化を高速化できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目標としていた,断面構造のモータの軸方向への変化を考慮したトポロジー最適化を実現することができた.このように回転子断面形状が軸方向に変化することにより,平均トルクを保ちつつ,トルクリプル(トルク変動)を最小化できることを明らかにした.さらに,モンテカルロ木探索を用いることにより,極数やスロット数,永久磁石配置などのモータの基本構造と,フラックスバリアや永久磁石などの部品の形状を同時に最適化できることを示した.この技術を用いることで,モータの自動設計の実現が期待できる.さらに,永久モータの最適設計を高速化するための新しい深層学習についても,研究が大きく進展した.
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今後の研究の推進方策 |
今後,つぎのような研究を行う. (i)段スキューがある永久磁石モータを考え,その断面の磁気回路のトポロジーと,スキュー角を同時に最適化する方法を開発する.このためにすでに開発済みのパラメータ・トポロジーハイブリッド最適化手法を適用する. (ii) 永久磁石モータの多目的最適化を行うためのモンテカルロ木探索法を開発する.モンテカルロ木探索ではそれぞれのノードにスコアを付ける必要があるため,パレート解の数に従ってスコアを付ける方法を検討する.本研究により,複数の目的関数からなる多目的最適化についても,モンテカルロ木探索を適用できるようになる. (iii)変分オートエンコーダを用いた永久磁石モータのトポロジー最適化法を開発する.従来提案されている変分オートエンコーダには,パラメータ最適化過程で得られたデータが教示されてきたが,本研究ではトポロジー最適化過程で得たデータを教示する.これにより多様な磁気トポロジーの永久磁石モータを生成でき,それらから最適なモータを得ることができる. (iv)アーバン・エア・モビリティ用の表面磁石モータのトポロジー最適化を行う.
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