本年度は、磁気ギヤードSRモータの最適な磁気回路に関する検討、並びに磁気ギヤードSRモータの最適な制御法に関する検討を行った。 まず磁気ギヤードSRモータの最適な磁気回路に関する検討については、これまでの検討によって、共有ロータの磁石磁束がSRモータ部に流れ込んで磁気的に干渉し、SRモータのトルクを低下させることが判明したことから、初期設計の磁気ギヤードSRモータでは、共有ロータを厚くして磁石磁束がSRモータ側に流れ込まないようにしていた。このような問題に対して、本年度はハルバッハ配列磁石に着目した。ハルバッハ配列磁石は、磁石を0度→90度→180度→270度→0度と周期的に並べることで、どちらか一方に磁石磁束を集中させることができる。このアイデアを取り入れることで、磁石磁束がSRモータ側に流れ込むのを防ぎ、共有ロータを薄くして軽量化を図った。その結果、初期設計に対して、改良設計では0.87 kg(8.7%)の軽量化に成功した。 次いで、磁気ギヤードSRモータの最適な制御法に関する検討については、磁気ギヤードSRモータが2慣性系であり、SRモータ側のトルクリプルがカットされて出力軸には現れないことを見出した。これにより、いわゆる瞬時トルク制御が不要になることから、単純な励磁位相角制御に着目し、最適な励磁開始角と励磁幅を総当たりで探索した。その結果、通常励磁に対して、励磁開始角を4.5度前倒して、励磁幅を4.5度広げることで、トルクが約6倍に増大することを明らかにした。
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