研究課題/領域番号 |
21H01306
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
下野 誠通 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90513292)
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研究分担者 |
藤本 康孝 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60313475)
赤津 観 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (90361740)
小原 秀嶺 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50772787)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / モーションコントロール / 制御工学 / モータドライブ / パワーエレクトロニクス |
研究実績の概要 |
研究期間初年度にあたる令和3年度では、まず「研究項目A:6自由度リニアモータの三次元構造に関する数理学研究」として、本研究で実現する6自由度リニアモータの三次元モデル化研究に着手した。円筒形モータにおいて6つの独立な出力を得るための、6組からなる螺旋状巻線と永久磁石の三次元配置について検討し、基本的なモータ構造原理を考案した。この基本原理モデルに対して有限要素法による電磁界解析を行い、実現可能性について検証した。この結果を受けて、「研究項目B:6自由度リニアモータの設計試作と駆動実験」では、次年度以降に実施する実証実験に向けた準備として、試作モータおよび試験装置の設計まで完了することができた。また、「研究項目C:運動制御の実装による有用性実証」では、6自由度リニアモータのためのモード駆動制御理論の研究に着手した。そして、最終年度に実施する制御実験に向けた準備として、モータ駆動回路および制御システムの構築に取り掛かった。 令和3年度においては、前段階となる研究成果として円筒形4自由度モータの解析結果および巻線端部の設計に対する検討結果についての論文を、電気学会産業計測制御研究会において発表した。また、上記の6自由度モータの基本原理モデルとその解析結果について、国際ワークショップであるThe 8th IEEJ International Workshop on Sensing, Actuation, Motion Control, and Optimization (SAMCON2022)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画においては、令和3年度においてモータ試作まで完了させる予定であったが、研究開始時点で想定していたモータ構造における巻線形状を採用した場合には、出力波形に歪みが生じることが電磁界解析結果から判明した。この結果を受けて、改良モデルの検討に取り組むこととし、特に巻線端部の形状設計によりモータ全体の出力性能が向上するという知見を得た。このため、年度内のモータの試作完了までには至らなかったが、モータ構造および試験装置の設計まで達成することができたため、大きな遅れは生じておらず、当初の計画通りに順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の成果である考案モータおよび試験装置の設計を基に、令和4年度前半においてはこれらの試作に取り組む。そして、駆動回路および制御システムの構築を完了させる。令和4年度後半からは、試作モータの基本特性に対する評価実験を実施する。具体的には、6組の螺旋状巻線に電流を印可した際に発生する力およびトルクを6軸力センサによって計測し、電流実効値に対する出力の関係を精査する。また、6つの力およびトルクの独立性について確認を行い、必要に応じてこれらを非干渉化するための制御アルゴリズム研究に取り組む。令和4年度末には、基本特性評価実験の結果を論文として纏め、国際ワークショップで発表する。発表後には、さらに内容を高めた論文を学術論文誌に投稿することを目指す。
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