研究実績の概要 |
まず現有の磁気支持装置に対し光造形を組入れる改良を行った。天吊りされた電磁石はXY方向に走査され,かつ,光硬化点を電磁石の走査に同期させる必要がある。このため電磁石中心軸にレーザー光路を確保する電磁石形状を採用した。また,制御・電力環境としてDSP(dSPACE, MicroLabBox),バイポーラ電源(NF回路, BP4610)を準備し,治具等は3Dプリンタ(Formlabs,Form3)で製作した。光硬化用レーザーは青紫色(405 nm)を使用することとし,磁性流体頂点の位置決め制御用変位センサのレーザー光(650 nm)と干渉しないよう配慮した。現在,光造形システムに向け,XY走査プログラムと磁気浮上制御プログラムの連動状態を確認中である。 磁気機能性流体として光硬化性を付加した磁性光硬化樹脂液を作製・評価した。レジン液(UV硬化)に,四酸化三鉄(平均粒径1 um, 10 wt%),増粘剤(カルボキシメチルセルロース, 5 wt%)を調合した液体に対し経過時間と分散性を評価した。この液体は,上記磁気浮上装置を使用してシャーレ内での円錐頂点位置決め制御を実現している。分散性評価の結果,数時間程度の均一分散状態が限界であった。増粘剤の追加は分散状態が向上する反面,磁性及び光硬化性を低下させる。引き続き磁性光硬化樹脂液の改良を続けると同時に,均一分散維持のための攪拌や短時間硬化のための光強度調整を検討する。 磁性光硬化樹脂液の供給方法として導管送液実験を実施した。導管(外形10 mm,内径8 mm)の周囲に三相螺旋コイルによる励磁実験では,送液方向および周方向の突極性が送液力を生成するが,磁性流体では管内で十分な送液力を生成できず断念した。一方,永久磁石スキューを用いた管内送液方法を発案し,半月型のベーン形成が確認されたことで非接触送液手法の可能性を見出した。
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