持続可能な開発目標に向けて,直流電力供給システムや電気自動車などの開発が進められる。電気自動車の急速充電器などの基本回路となる高周波絶縁型大電力DC-DCコンバータの研究は今後発展する学術分野である。本研究では,高周波絶縁型単方向SR-SABコンバータ(Secondary-Resonant Single-Active-Bridge DC-DC Converter)を提案する。提案コンバータは,一次側回路はHブリッジ回路で,二次側は小容量キャパシタを並列接続したダイオード整流回路でそれぞれ構成され,さらに損失を低減するソフトスイッチングを実現できる点に大きな特徴がある。提案コンバータの出力電力制御および応用回路として,次の3項目について研究を実施した。 1.高周波トランスの周波数制御による出力電力制御法の確立については,昨年度までに出力電力制御の制御理論及び実験検証まで完了している。今年度は追加研究項目として電源投入時に二次側電圧を確立するための安定な始動シーケンスを実現した。 2.一次電圧波形制御による出力電力制御法の確立については,提案している高速な出力電力制御法のためのスイッチング制御および過渡応答特性の実験検証を行い,1スイッチング制御周期で送電電力を指令値通りに制御できる制御法とその実験検証を行った。 3.大電力のための三相SR-SABコンバータ回路と制御法の確立については,周波数制御による電力制御法を提案し,各トランス結線におけるシミュレーションおよび実験検証を行った。
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