モータへの高効率化と小型化・高出力密度化への要求は年々高まっている。そこで,本研究では,4極集中巻構造の超高速モータにおいて,10万rpmという超高速回転下で高出力密度化と高効率化を両立するために,(a) 電気伝導率が非常に小さいネオジムボンド磁石の採用,(b) 固定子にストレートティース形状を採用,(c) 回転子の磁石とシャフトの間に半径方向に薄い電磁鋼板のコアを挿入,(d) 巻線に使用する導線の線径を細くし,導線の並列数を増加,という4個の改善点を同時に備えた新構造を提案している。 2023年度は以下の内容について研究を実施した。 「実験結果と解析結果の詳細な比較検討による更なる高性能化の検討」 提案構造を備えた試験機を用いた実負荷試験による出力・損失・効率やモータ各部の温度といった実験結果と,電磁場解析により求まる同運転条件下における出力・損失・効率や熱流体解析により求まるモータ各部の温度の解析結果などが複数の負荷運転条件で一致するように,実機における熱抵抗などの様々な解析設定条件の同定を正確に実施して,解析精度の向上を図った。そして,このような実験結果と解析結果の比較検討により解析精度を向上できた電磁解析と熱流体解析を,すべての解析モデルで連成解析するという設計手法により,モータ形状によるモータ各部の損失密度分布と温度分布の関係を明らかにした。その結果,更なる高出力密度化と高効率化を達成できる構造を求めることができたと同時に,今回用いた設計手法の有効性を示した。
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